経営理念の必要性や重要性、意味や目的、効果やメリットとは

八ヶ岳の道中にて 撮影者:うさやん

「経営理念の必要性や重要性を確かめたい」

「経営理念の意味や目的とは?」

「経営理念にはどんな効果やメリットがあるのか?」

というあなたに、今回は、

  • 経営理念の必要性重要性
  • 経営理念の意味目的
  • 経営理念の効果メリット

について、わかりやすく解説いたします。

自社の経営理念を作成するかどうか?

を考える際、

「会社の大小に関係なく、経営理念は必要なのか?」

「経営理念とは、どれほど重要なのか?」

という疑問が頭をよぎる方も、少なからずいらっしゃると思います。

会社によっては、

「うちは中小企業だから経営理念は必要ない」

「数人の小さい会社でも、経営理念って必要なの?」

といった、経営理念の作成に対して否定的な考えもあるでしょう。

経営理念についてはさまざまな捉え方や考え方があるかと思いますが、結論から申し上げると、複数名で事業をなさっている場合は、経営理念を掲げることをオススメいたします

もっと言うと、お一人で事業をなさっている個人事業主の方であっても、経営理念のような「自分(自社)が大切にしている考え方や価値観」は明確にしておくべきです。

それはなぜか?

早速見ていきましょう。

プロモーション

経営理念の必要性

経営理念の必要性とは?

経営理念はなぜ必要なのか?

なんのために存在するのか?

結論から申し上げると、経営理念は、

  • 経営者自身が、自らの考えや行動を律するため
  • 従業員全員が、ものごとを決める際の判断軸とするため

に必要となります。

経営理念とは「会社が大切にしている考え方や価値観」です。

経営理念を掲げて、社内外に公表するということは、

「私たちは経営理念をしっかり守っていきます」

と宣言することに他なりません。

宣言した以上は、それを守る義務が生じます。

経営者は自分自身に対して、従業員は会社に対して、そして、会社は社会に対して約束したことになります。

多くの中小企業は、社長より上の役職がありませんから、基本的には社長を諫める人間がいません。

社長が誤った決断をしそうになった時、誰がその考えを踏みとどまらせるのか?

その役割を果たすのが、自ら掲げ、自分との約束を交わした経営理念というわけです。

経営理念は会社で働くすべての従業員に対しても、その効力を発揮します。

何人かの人が集まってものごとを決めるときや、人が人を評価するときなど、ビジネスでは正解がない中で判断を迫られるシーンが何度となくあります。

そんな時、「会社が大切にしている考え方や価値観」となる経営理念がなければ

  • 声の大きい、あるいは影響力の大きい従業員の意見が優先される
  • 上司の意見や考えが優先され、理不尽な決定が下される場合がある
  • 意見の良し悪しではなく、好き嫌いや多数決でものごとが決まる

など、自己の都合や感情が優先され、時として誤った判断が下されかねません

従業員が迷うことなく判断するために、従業員が公正に評価する(される)ために、ここでも経営理念の必要性がお分かりいただけると思います。

プロモーション

経営理念の重要性

経営理念の重要性とは?

経営理念が会社にとって、どれほど重要か?

「経営理念の必要性」でも少し触れましたが、経営理念は「ものごとを決定する際の判断軸」となります。

人は様々な考え方や価値観を持っていますから、会社の経営理念が定まっていなければ、判断する(決定する)人の考え方や価値観が優先されます。

会社の中でいろんな判断軸が存在することになれば、意見の集約は困難を極め、意思決定のスピードは遅くなり、社内でいくつかの派閥が出来上がり、セクショナリズムを生み出すなど、会社にとって大きな不利益を生み出すことになりかねません。

では、

経営理念を掲げていれば問題は起こらないのか?

と言われると、それは「経営理念の内容」にも左右されます。

つまり、「本気で考えた経営理念」でなければ、本来の効力を発揮することは難しいでしょう。

例えば、有名企業の経営理念とほとんど同じ経営理念を掲げている会社があります。

しかしながら、有名企業の経営理念がどんなに素晴らしく、心から共感できるものであっても、そっくりそのまま自社の経営理念に据えるべきではありません。

経営理念は、経営者(創業者)が自分の頭で考えて作るべきものです。

社長以外の人間が作るべきものではありませんし、「経営理念の丸パクリ」など論外。

有名企業や大企業と同じ、あるいは、よく似た経営理念理念を掲げたくなる気持ちも理解できますが、まったく異なる会社の価値観を、自分の会社に当てはめるということは、「自分の会社が大切にしていることは何か?」という問いから目を背けることに他なりません。

そのような安易な考えで、

従業員の気持ちをひとつにまとめることができるでしょうか?

会社の業績を上げることができるでしょうか?

社会に貢献することができるでしょうか?

お客様の幸せに寄与することができるでしょうか?

有名企業の経営理念は大いに参考にすべきですし、良い部分は自社の経営理念に取り入れてもかまいませんが、最終的には経営者が自分の言葉で、一語一句に魂を込めて、自社独自の経営理念を作成しなければなりません。

そうすることによって、

「なぜこのような経営理念を作ったのか?」

「経営理念にまつわるエピソードを聞かせてほしい」

といった質問に対しても、即答することができます。

新入社員向けの社内研修や新卒向けの会社説明会、人事評価に関する面談や会議など、社内外を問わず、経営理念に触れる機会は多々あります。

その際、経営理念について熱く語ることができなければ、会社の姿勢や経営者の資質が問われることになりかねません。

上記のことからも、経営理念の重要性がおわかりいただけると思います。

プロモーション

経営理念の意味

経営理念の意味を、例を交えながらわかりやすく解説いたします。

経営理念の意味を正しく理解するために、まずはじめに、「会社経営」と「理念」の意味をあらためて確認しておきましょう。

会社経営とは、

会社が掲げるビジョンや目的を達成するために、顧客を創造しながら利益を拡大するなどして、継続的かつ計画的に事業を行うことです。

そして、理念とは、

「不変の存在」「根底にある考え方」です。

つまり、経営理念とは、

会社経営を行うにあたって、「会社が大切にしている考え方や価値観」と言えます。

経営理念は、会社経営の根底にある考え方ですから、時代の変化に応じて変化する可能性がある「ビジョン」や「ミッション」とは異なり、よほどのことがない限り、変化することはありません。

加えて、経営理念は「わかりやすさ」や「読みやすさ」も重要です。

お客様や従業員が会社の経営理念を読んだ時、

  • スッと腹落ちする内容である
  • 心から共感できる
  • 守っていきたいと誰もが思える

でなければなりません。

さらに、経営理念は

「誰のために、何のために会社が存在しているのか?」

という「会社の存在意義」を示すものです。

そのため、お客様や従業員だけでなく、社会に対して、

「どのような価値を与えることができるのか?」

なども考慮する必要があります。

例えば、私の実家のすぐ近くにある「コメダ珈琲店」の経営理念を見てみましょう。

「私たちは珈琲を大切にする心からを通してお客様にくつろぐ、一番いいところを提供します」

出典:経営理念 | 会社情報 | 株式会社コメダホールディングス

内容はいたってシンプルでわかりやすく、たどたどしい文章が逆に親しみを感じさせてくれる経営理念ですね。

句読点の位置も微妙ですが、それがまたいい。(ちなみに私は帰省した時、必ずと言っていいほど「コメダ珈琲店でモーニングを食べる」のが恒例行事となっています。)

経営理念にも書かれている通り、ゆったりとくつろげる大きめのソファ、ログハウスのような落ち着いた店内、そして大きめのマグカップにたっぷり注がれた美味しい珈琲…この組み合わせがコメダ珈琲店なんですよね。

利用者からすると、すでに十分くつろげるのでこれ以上求めるものはありませんが、おそらくコメダ珈琲店では、

  • お店の内装、外装や植木
  • 座席数や店内のレイアウト
  • シートの幅やクッションの堅さ
  • 店内の照明や装飾(デザイン)
  • 店員さんのユニホームや接客態度

など、ありとあらゆる面において

「どうすればお客様がくつろげる、いい空間を提供することができるか?」

を常に考え、それを実践しているのだと思います。

上記のことから、経営理念とは、

「会社が大切にしている考え方や価値観」

であると同時に、

「会社の存在意義」を表すメッセージと言えるのではないでしょうか。

プロモーション

経営理念の目的

経営理念の目的は大きく2つあります。

経営理念の目的

  1. 独自の企業文化を醸成するため
  2. 企業の姿勢を社会に発信するため

経営理念の中には、創業者(経営者)の強い思いや信念、あるいは哲学や倫理観を明文化しただけのものもありますが、そのような経営理念であっても、結果的には上記2つの目的をしっかり果たしています。

それではひとつずつ見ていきましょう。

企業文化を醸成

経営理念の目的、ひとつ目は「企業文化を醸成するため」です。

企業文化とは、それぞれの企業が持っている「独自の文化」のことを言います。

例えば、経営理念の中に「チャレンジ精神」を盛り込んでいる企業は、従業員が何事にも積極的にチャレンジする姿勢を良しとし、チャレンジする人を応援し、チャレンジする人を評価する傾向があります。

そうなると、従業員の間で、チャレンジすることへの抵抗が薄れ、チャレンジすることが当たり前のようになり、お客様やお取引先をはじめ、求職者からも「チャレンジ精神旺盛な企業」として見られるようになります。

企業文化を醸成するためには、企業が大切にしている考え方や価値観を経営理念という形で明文化して、従業員に伝えることが最も効果的です。

会社の姿勢を発信

経営理念の目的、2つ目は「会社の姿勢を発信するため」です。

「私たちは〇〇を大切にしています」

「私たちは〇〇に価値があると考えています」

経営理念を通じて、

「会社が大切にしている考え方や価値観」

を伝えるということは、

「自分たちがどのような会社であるか?」

「自分たちがどのような姿勢で働いているか?」

を発信することに他なりません。

そして、上記の「考え方」や「価値観」を発信することで、その考え方や価値観に共感するお客様やお取引先様をはじめ、就職活動を行っている学生や転職活動をしている社会人を引き寄せます。

プロモーション

経営理念の効果やメリット

経営理念を掲げると、具体的にどのような効果やメリットがあるのか?

経営理念の効果やメリットは、主に3つあります。

経営理念の効果やメリット

  • 考え方や価値観に共感する人が集まる
  • 会議やミーティングの時間が短くなる
  • 会社名で選ばれる「きっかけ」となる

誤解がないように、先に申し上げておきますが、

経営理念は効果やメリットを求めて掲げるものではありません。

経営理念を掲げる真の目的は、自社独自の企業文化を醸成するためであり、会社の姿勢を世の中に発信するためです。

つまり、経営理念の効果やメリットは、上記の目的を果たす過程において得られる「恩恵」と言えます。

まずは、経営理念の意味や目的を正しく理解し、社内に浸透させるように努める。

そうすることで、はじめて経営理念の効果やメリットを実感することができます。

そして、経営理念の効果やメリットは、

「いい人材がなかなか採用できない…」

「会社の方向性が定まらない(わからない)…」

「会社の知名度が低い…」

といった、中小企業が慢性的に抱えている課題を解決する大きなきっかけとなります

それでは、前置きが長くなりましたが、ひとつずつ詳しくみていきましょう。

共感する人が集う

経営理念の効果やメリット、ひとつ目は「会社の考え方や価値観に共感する人が集まること」です。

会社が提供している商品やサービスを利用するお客様はもちろん、協力会社や主要な取引先、人材募集を行った際の応募者など、経営理念の内容に共感するいろんな人たちを引き寄せます

経営理念に共感してくれたお客様は、

似たような商品が横一列で並んだ場合、自社の商品を選んでくれるかもしれません。

経営理念に共感してくれた取引先は、

商品を製造するために必要とされる希少な部品を、優先的に回してくれるかもしれません。

採用活動において、経営理念に共感してくれた応募者が採用された場合、

長く会社に留まり、業績アップに貢献し続けてくれるかもしれません。

共感のパワーは、利害や損得を超越して、無条件で会社を応援してくれる力を秘めています。

もちろん、経営理念に掲げた考え方や価値観を実践しなければ、上記のメリットは得られませんが、経営理念が全従業員に浸透して、会社全体が経営理念に掲げた考え方や価値観に基づいた活動を行うならば、共感のパワーは最大限に発揮されるでしょう。

会議の時間が短縮

経営理念の効果やメリット、2つ目は「会議やミーティングの時間が短くなること」です。

経営理念が定まって、会社が大切にすべき考え方や価値観が明確になると、ものごとを決める時の軸が定まり、会社の方向性がはっきりしますから、判断に迷うことが少なくなります

会議やミーティングの目的は、複数の人間が集まり、話し合いの中で何かを決めることです

経営理念によって判断軸が明確になれば、判断に迷うことが少なくなって、会議やミーティングに費やす時間が次第に減ってきます。

もしかすると、会議やミーティングの時間が短縮される以前に、会議やミーティングの回数が激減するかもしれません。

何が起こるか予測不可能な現代においては、ものごとを決めることに時間をかけるよりも、素早く決定して多くを試し、いいものだけを残す方が、結果として時間も労力も最小限に抑えることができます

会社名で選ばれる

経営理念の効果やメリット、3つ目は「会社名で選ばれるきっかけがひとつ増えること」です。

経営理念、つまり「会社が大切にしている考え方や価値観」が定まると、事業の方向性や、商品開発の方向性も定まり、ひいては会社の方向性が自ずと定まってきます。

会社の方向性が定まると、会社のイメージが定まり、会社のブランディングにつながります。

そして、会社のブランドイメージが消費者に定着すると、会社のファンが生まれ、会社が提供するすべての商品やサービスに対して共感し、信頼し、好感を持つようになります

経営理念によって定められた「会社の考え方や価値観」が、上記の好循環を生み出す「きっかけ」になることを考えると、経営理念を疎かにすることは決してできません。

プロモーション

まとめ

今回は、

  • 経営理念の必要性と重要性
  • 経営理念の意味や目的
  • 経営理念の効果やメリット

について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

本文中「経営理念の重要性」の項では、経営理念は「経営者が自分の頭で考えるべき」と言いましたが、自分の頭で考えるべきは、経営理念だけではありません。

社長をはじめ、会社の上層部である幹部社員ともなると、忙しさのあまり、自分が考えるべきことまで他の人に任せて、それを自分の考えとして公に発言したり、自社メディアに掲載している方がいらっしゃいます。

私自身も、過去に在籍していた会社で、社長のコメントを代筆したことがありました。

「社長はどんなメッセージを届けたいと思っているのだろうか?」

と考えながら書き始めたものの、社長でもない自分がわかるはずもなく、結局は

「自分が社長だったら、どんなメッセージを伝えたいか?」

そう考えながら、少々複雑な気分で原稿を書き上げました。

書いた原稿は、社長に確認していただき、修正の指摘もなかったため、そのままWebサイトに掲載することになりましたが、今でも

「ほんとうにそれでよかったのだろうか…」

「社長がご自身の言葉でメッセージを綴るべきだったのでは?」

「せめて、もう少し私がヒアリングすべきだった…」

と思っています。

ファーストリテイリング(ユニクロ・GU)の代表取締役会長兼社長である柳井氏が、対談の中で以下のようなことをおっしゃっています。

命令も発言もスピーチも、言葉を発するとは自分の意思を表すということです。

自分で考えずにほかの人に言葉を選ばせるくらいなら、何も言わないほうがいいと思います。

広報が書いたような一般的な話をして、真実だと受け取る人もいるかもしれません。

でも、それは真実とは程遠いはずです。

出典:楠木建(2014)『「好き嫌い」と経営』東洋経済新報社 .

経営理念も同様に、有名企業の経営理念をコピーするくらいなら、経営者が自分の頭で考えないのであれば、掲げないほうがいい。

個人的にはそう思いますが、みなさんはどうお感じになりましたか?

もしも、この記事をお読みいただいている経営者の中に、

「経営理念を掲げるかどうか、まだ少し迷っている…」

という方がいらっしゃいましたら、

「会社をひとつ上のステージに押し上げる!」

という覚悟を持って、ぜひご自身で経営理念の作成に着手していただきたいと思います。

経営理念は、大企業だけのものではありません。

中小企業や小さい会社こそ、経営理念を掲げて、会社の存在意義を世の中に発信すべきです。

経営者が本気で考えた経営理念は、

同じ志を持った人を引き寄せるきっかけになります。

スピード感をもって、効率良く日々の仕事に取り組めます。

そして、会社のブランディングの基礎を固めることができます。

日々お忙しいかとは思いますが、会社経営を行う上で最重要事項のひとつとなりますので、ぜひ時間を確保して取り組んでいただければ幸いです。

最後にもうひとつ。

「日々の業務に追われて、重要な仕事に費やす時間が足りない…」

「経営戦略や人事、新事業について専門分野の人に相談したい…」

という経営者・役員・マネージャーの皆様に画期的なサービスを2つご紹介いたします。

そのサービスとは、

  • オンラインアシスタント
  • スポットコンサルティング

です。

オンラインアシスタントとは、経理や総務、人事や労務、財務や法務、営業やマーケティングといった様々な分野の専門的な知識やスキル、実務経験を持った外部(社外)の人材が、オンライン上で自社の業務をサポートしてくれる便利なサービスです。

慢性的な人材不足が続き、リモートワークが珍しいものではなくなった今日、月額数万円から依頼できるオンラインアシスタントが、契約社員やパート社員に取って代わる選択肢のひとつとして、あるいは、多忙な経営者やマネージャーの秘書として活躍してくれます。

スポットコンサルティングとは、ピンポイントで知りたい情報やアドバイスしてほしいことを、特定の業界や業務において豊富な経験を持った「その道のプロ」やコンサルタントに、1時間単位で気軽に相談できる便利なサービスです。

こちらのサービスも、意思決定に欠かせない貴重な判断材料(情報)が安価で手に入ることから、経営者のみならず、管理職や事業責任者、商品の開発責任者など、様々なポジションの方に利用されています。

いずれのサービスも、スピード感を持って会社経営を行う上では利用価値が高いサービスなので、少しでも気になる方は是非チェックしてみてくださいね。

ということで、今回はこの辺で。

最後までお読みいただき、ほんとうにありがとうございました (^.^)

タイトルとURLをコピーしました