「意思決定を行うときに最も大切なことは何か?」
「すべての利害関係者に納得してもらえる意思決定とは?」
「そもそも意思決定とは何か?意志決定との違いは?」
というあなたに、今回は、
- 納得できる意思決定を行う際に最も大切なこと
- 意思決定とは何か?意味や類似する表現との違い
をわかりやすく解説します。
ビジネスにおける意思決定は、会社の行末を大きく左右することが往々にしてあります。
ひとつ判断を間違えば組織が分断されたり、従業員の気持ちが離れてしまうことも考えられます。
時には利害関係者の考えや思惑が考えすぎるあまり、何日も頭を悩ますこともあるでしょう。
だからといって、いつまでも意思決定を先延ばしにするわけにはいきません。
では、どうすれば、すべての利害関係者が納得できるような判断を下すことができるのか?
その「軸」となる考え方とは?
早速見ていきましょう。
意思決定で最も大切なこと
意思決定で最も大切なことは何か?
結論から申し上げると、意思決定で最も大切なことは「道徳心」です。
意外だったでしょうか。
もちろん、従業員や顧客を第一に考えることも大切ですし、短期的な利益より長期的な利益を優先すべきでしょうし、すぐに決めかねる意思決定は「先送りする」という方法もあるでしょう。
しかし、意思決定に伴うあらゆる条件を加味して、最終的にいくつかの選択肢がテーブルに並べられ、どの選択肢も甲乙付け難い時、何を拠り所として判断すればいいか?
繰り返しますが、「道徳心」をもとに判断することをオススメします。
それはなぜか?
考え方や価値観が異なる人たちの意見を集約するには、全員が心から共感できる何かしらの要素が必要です。
会社のビジョンやミッション、経営理念などが明確に示されており、それらが社員に浸透している場合、意思決定する際にあらためてビジョンやミッションを持ち出せば大きな反論は生まれないかもしれませんが、そのような会社ばかりではありません。
仮にビジョンやミッションが定まっていたとしても、内容が抽象的だったり、どこかの有名な会社の社是や理念をコピーした「形式的なもの」であれば、ビジョンやミッションによって社員の共感を得ることは現実的に難しいでしょう。
そんな時に大切にしていただきたいのが、すべての人間の心の中にある規範、つまり「道徳心」というわけです。
道徳心とは何か?
その意味について、あらためて確認しておきましょう。
道徳心とは、
誰もが意識することなく使える「善悪や正邪を判断できる心の中の規範」のことを言います。
正確にいうと、道徳心が持つ規範は全世界共通ではありませんし、宗教や人種、あるいは個人の価値観にも影響されますが、日本人に限定した場合、共通性や一貫性が見られますから、正邪や善悪の軸がブレる事はほとんどありません。
なぜ道徳心が意思決定を行う上で最も大切なのか?
それは、道徳心は誰もが心の中に持っている規範であり、判断軸であり、ひとりの人間として心から共感できる考えだからです。
数ある選択肢の中から何か一つを選ぶ時、あるいは意思決定に迷った時、
「道徳心に従って選ぶとすればどれを選択するか?」
と自分の心に問いかけてみましょう。
そうすれば自ずと選ぶべき選択肢が浮かび上がります。
道徳心を拠り所として下された意思決定は、道義的に正しい判断であると誰もが認めるところですから、利害がからむ人たちからの批判や反論があったとしても、道徳心に基づいた意思決定の理由や根拠を丁寧に説明することで、快く賛成とまではいかないまでも、ある程度の理解は得られるでしょう。
では、道徳心にはどのようなものがあるのか?
あらためて確認しておきたいと思います。
道徳心の一例
- 親切さ:社員や顧客をはじめ、環境や社会にとって優しいこと
- 公正さ:誰も損することがなく、一部の人だけが得しないこと
- 純粋さ:邪念がなく、清らかな心を持ち、ひたむきであること
- 清潔さ:衛生的で汚れがなく、行いに嘘やごまかしが一切ない
- 健全さ:肉体、精神ともに健やかで、確実性があり堅実なさま
目立ったところをいくつか挙げてみましたが、どれも意思決定の規範とするにふさわしいものばかりですね。
これらの道徳心を拠り所にして下された意思決定は、社員のみならず、お客様や取引先の方からも多くの共感を得ることができます。
仮に、道徳心による判断が一時的に悪い結果を招いたとしても、すぐに「判断を誤った」と思うのは早計です。
道義的に正しい判断が、長期的に悪い結果を生むことなどあり得ません。
一時的には悪い結果に見えることもありますが、目の前に起きた出来事をありのまま受け止めて、
「この結果は自分に何を教えようとしているのか?」
「この結果からどんなことが学べるか?」
と視点を変えることができれば、その出来事が良い「気付き」となって、次に進むべき道が目の前に現れ、パッと視界が開けます。
大切なことなのでもう一度言います。
長い目で見ると、同義的に正しい行いが悪い結果を招くことは絶対にありません。
それらは実は良い結果をもたらす「きっかけ」であり、実りの季節が来れば必ず良い結果という果実を実らせてくれます。
意思決定とは何か
意思決定とは何か?をあらためて確認しておきましょう。
意思決定とは、組織やチーム内の集団、あるいは個人が、複数の選択肢の中から最善と思われるものを考えて、決断する行為です。
「用意された選択肢の中から最適解を選ぶ行為」と言い換えることもできます。
ちなみに「集客のアイデアを考える」「売れる仕組みを考案する」「新商品や新サービスを開発する」といった行為は、ゼロから考える行為となりますから「意思決定する」とは言いません。
意思決定と意志決定の違い
「意思決定」と「意志決定」の違いはどこにあるのか?
2つの言葉は前半の「意思」と「意志」が異なるだけで、どちらも「決定」することに変わりありません。
意思とは、心や頭の中に、ぼんやりと何か思い浮かんでいる状態、あるいは何かをしたいと考えている状態を指します。
意志とは、物事を成し遂げようとする積極的な考えであり、目標や志(こころざし)をもっている状態を指します。
つまり、意思は「まだぼんやり考えている」、意志は「すでに心は決まっている」ということ。
「意思決定」と「意志決定」の意味に大きな違いはありませんが、まだぼんやりと何かを考えている状態から抜け出して、何かを決めるという意味においては、「意思決定」という表記が適切ではないでしょうか。
意思決定と合意形成の違い
「意思決定」と「合意形成」との違いは何か?
「意思決定」は前述したとおりです。
一方で、「合意形成」とは、利害関係者全員の意見の一致を図る行為を指します。
利害関係者の根底にある多様な考えや価値観を浮き彫りにしながら、関係者全員が納得できるまで話し合い(議論し)、意思決定を行うプロセスのこと。
「コンセンサス」と呼ばれることもあります。
意思決定と全会一致の違い
「意思決定」と「全会一致」との違いは何か?
「意思決定」は前述したとおりです。
一方で、「全会一致」とは、組織やチームなど、特定の集団において、反対する人を一人も出さずに意見をまとめ上げること、あるいは採用することを言います。
「満場一致」と呼ばれることもあります。
まとめ
今回は、「納得できる意思決定を行う際に最も大切なこと」について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
意思決定の意味や、類似表現との違いもご理解いただけたのではないでしょうか。
意思決定についていろいろお話しましたが、実は意思決定を行う際に、もうひとつ大事なことがあります。
それは、「自分の直感を信じること」です。
何かを「選択する」、何かを「決める」ということは、何かを「捨てる」ことを意味します。
意思決定したことで、「すべてが丸く収まる」ことや、「何もかもうまくいく」ことなどありません。
多くの場合、良いこともあれば、悪いこともある。
いわゆる「トレードオフ」の状態を作ってしまうことになります。
道徳心を持って、すべての利害関係者からある程度の共感が得られたとしても、心の奥底ではモヤモヤしている人が必ずいますから、そのモヤモヤを払拭するためにも、できるだけ速く「トレードオフ」から「トレードオン」の状態に移行する必要があります。
つまり、近い将来「あの時の意思決定は正しかった」と心から認めてもらえるように、新たな価値を生み出し、誰もが納得できる結果を残すことが重要です。
そのためにも、意思決定を行う際は、自分の直感を信じて決断し、意思決定を行った後も、自分の判断を信じて、関係者全員が幸せになる結果を手繰り寄せるために、努力を怠らないこと。
意思決定は、「決断して終わり」ではありません。
意思決定してからが、ほんとうの始まりです。
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ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただき、ほんとうにありがとうございました (^.^)