「取引先と対等な関係を築く方法はないだろうか…」
「お客様との信頼関係を構築するにはどうすればいいか…」
「大幅な値引きをすることなく、大きな案件を成立させるにはどうすればいいか…」
そんな悩みを抱えていらっしゃるあなたに、今回は、
お客様と対等な関係を築くための「ビジネスの3つの基本原則」をご紹介いたします。
長期的な目線で見ると、お客様と対等な関係を築くことができなければ、会社を成長させることはおろか、会社を存続することはできません。
会社を存続させるということは、すなわち、お客様に継続的にご満足いただくということ。
これからご紹介する「ビジネスの3つの基本原則」は、お客様と対等な関係を築きながら、会社を継続的に成長させる原理原則です。
それでは早速みていきましょう。
ビジネスの3つの基本原則
お客様と対等な関係を築くための「ビジネスの基本原則」をご紹介します。
お客様と対等な関係を築くための「ビジネスの基本原則」
- ネガティブなこともすべて正直に伝える
- 他社との差別化を図る自社の強みを伝える
- 自社の価値観や考え方を繰り返し伝える
ビジネスの基本となる考え方や原理原則はいろいろありますが、お客様と対等な関係を築くためには、上記3つの基本を抑える必要があります。
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
常に正直であること
ビジネスの基本原則、ひとつ目は「常に正直であること」です。
時には自社にとって都合が悪いこと、つまりネガティブなことも、お客様には正直にお伝えしなければなりません。
「ネガティブなこと」とは、自社が苦手としていることや対応できないことを指します。
「そんなことわざわざ伝えるなんてどうかしてる」
「マイナスのイメージを与えてしまうのでは?」
と思われるかもしれませんが、中小企業や小さな会社ほど、正直であることがプラスに働きます。
というのも、取引先の規模が自社よりも小さければ、ネガティブなことを伝えると
「大きい会社なのにそんなこともできないの?」
「もっとしっかりしている会社を探そう」
となりますが、取引先の規模が自社のそれより大きいと
「小さな会社なのでそれくらいは仕方ないか」
「その程度のことなら問題ないんじゃないかな」
となります。
この違い、お分かりいただけますでしょうか?
つまり、小さい会社は大きな会社に対して、多くを求める傾向があります。
そして、大きい会社は小さい会社に対して、初めから多くを求めていない傾向があります。
世の中にはいろんな会社があるので一概には言えませんし、すべての会社に当てはまるわけではありませんが、人間は自分より大きいものや強いものに対しては多くを求め、自分よりも小さいものや弱いものに対しては多くを求めない傾向があるようです。
例えば、今まさに世間を騒がせている、新型コロナウイルスに関するさまざまな保証をめぐる問題も、あくまで個人的な印象ですが、国に求めているものと地方自治体に求めているものとの間には、大きな隔たりがあるように思います。(この記事の原稿は2020年4月執筆しています)
財源の大きさや自治体ごとの懐事情も関係しているとは思いますが、それらを差し引いたとしても、国民が自治体に求めているものよりも、国に求めているものの方が大きいのではないでしょうか。
その他にも、ネガティブなことを事前に伝えておくと
「それ以上ネガティブなことを思いつかなくなる」
というメリットや、場合によっては「正直」「誠実」といったプラスの印象を与えることにつながります。
自社の強みを持つこと
ビジネスの基本原則、2つ目は「自社独自の強みを持つこと」です。
会社の強みやいいところを、お客様にわかりやすい言葉でしっかり伝える。
これは基本中の基本です。
単なる強みではなく、競合他社と差別化できるものであれば、より相手に響くので
- 他社と比べて何がどう違うのか?
- その違いはどんなメリットを生み出すのか?
- その強みが無いとどんな不都合があるのか?
など、他社との具体的な違いを明確に示しておくと、説得力が増します。
「そんなことを言われてもウチは他とあまり変わらないので…」
という方は、今現在ご利用いただいているお客様に
「数ある会社の中で、なぜ私たちの会社をご利用いただいているのですか?」
と聞いてみてください。
繰り返しご利用いただいているということは、必ず何かしらの理由があるはずです。
お客様の声を聞いてみて、集まった多くのお声の中から強みとなる要素を取り出し、わかりやすく明文化するといいでしょう。
その他にも
- これまで歩んできた会社の歴史や実績をくまなくPRする
- 地域を限定することで業界で1位になれる要素を見つけ出す
- 競合他社があえて口にしていない当たり前のことを、自社の強みとして発信する
という方法もあります。
自社の強みは多すぎても少なすぎてもダメで、3〜5個くらいがいいでしょう。
多すぎるとひとつひとつの強みが弱く写ってしまいますし、1、2個だと物足りませんからね…。
強みが明確になれば、それらを長々と文章にするのではなく、まずは
- メッセージ性の強い言葉をピックアップして
- アイキャッチとなるような短い文章を作って
- それぞれの強みを箇条書きで記し、解説文を加える
そうすると、相手に伝わりやすく理解されやすいのでオススメです。
なお「他社との差別化を図る自社独自の強み」はマーケティング用語で「USP(Unique Selling Proposition)」と表現され、お客様が自社の商品やサービスを選ぶ理由となり得ることから、マーケティングを行う上では欠かせない要素となっています。
存在意義を示すこと
ビジネスの基本原則、3つ目は「会社の存在意義を社内外に示すこと」です。
お客様が自社のことを知る上で、価値観や考え方を伝えることは欠かせません。
会社の規模や歴史、従業員数や所在地、扱っている商品やサービスは、会社概要やWebサイトを見れば一目瞭然ですが、
「会社が大切にしているものは何か?」
「何のために会社を経営しているのか?」
といった会社のマインドは外から見えにくいものです。
とりわけ「大きな取引」をまとめたり、「大きな案件」をお任せいただく場合は、継続的なお付き合いを前提としている場合が多く、大きなお金が動きますから、会社の規模や実績以上に
「どんな会社で、何を考えているのか?」
が伝わらなければ信用を得ることはできません。
しかも価値観や考え方は一度伝えるだけでは不十分。
すぐに忘れられますから、繰り返し何度も伝える必要があります。
「何度も伝える」というのは、会うたびに口頭で繰り返し伝えるという意味ではなく、会社の価値観や考え方を会社のあらゆるところに浸透させて、ことあるごとにそれらを感じ取っていただけるような状態にしておくことを意味します。
会社の考え方や価値観は、
- 扱っている商品やサービス
- 社長や幹部の方が話す内容
- 取引先様が来社した時に目にするもの
- 従業員の様子や職場の雰囲気
など、五感を通して入ってくる全てのものに現れます。
こればかりは「大きな取引」や「大きな案件」を目の前にして、突貫工事で取り繕うとしても必ずボロが出ますから、価値観や考え方を反映させた会社の「経営理念」を明確に示し、常日頃からそれらを会社内に浸透させる努力が必要です。
商売の基本は「接触回数」
最後にもうひとつだけ、「大きな取引」を成立させるために、そして、「大きな案件」を受注するために大切な「商売の基本」をお伝えします。
それは「接触回数」、つまりアプローチした回数です。
先に申し上げた3つのビジネスの基本原則は、お客様や取引先に数多くお会いすることによって、その効果を広げることができます。
ここで言う「お会いする」は、「訪問する」という意味に限定されるものではなく、電話やチャット、スカイプやズームによるオンラインでの会話、メールやDMはがきなども含まれます。
「単純接触効果」というものをご存知でしょうか。
これは
「ある対象に繰り返し接するほど、その対象をもっと好きになる」
というもので、
「ある考え方に10から20回繰り返し触れると、好感度は上昇し続ける」
という結果も出ています。
男子と女子を例に考えるとわかりやすいでしょう。
A君はBさんのことがものすごく好きだけど、BさんはA君のことを好きでも嫌いでもない。(と、ここまで言うと次の展開がわかると思いますが、気にせず続けます。)
A君が自分の気持ちを何度も何度もBさんに伝えるうちに、いつの間にかBさんもA君のことが好きになっていく…という、ひとむかし前の「月9ドラマ」でしばしば見られた現象です。
度がすぎるといけませんが(男女間ではストーカー行為に値する)、訪問に限らず電話やメール、自筆のお手紙など、アプローチする方法を変えたり適度に間隔を空けながら、相手の記憶から消えないように、できるだけ相手の邪魔にならないように配慮しながら接触回数を重ねると、その「熱意」が相手の気持ちを動かすことが往々にしてあります。
実際に、お世辞にもイケメンとは言えない私の後輩が、会社で最も可愛くて美しいと評判だったアルバイトの女子に何度もアプローチした結果、まさかの「交際→結婚→二人の子持ち」に至ったケースを目の当たりにしていますから、接触回数は決して軽視できません。
テレビドラマではありがちな話ですが、それを目の当たりにすると「なるほど、そういうものなのか」と妙に納得させられます。
まとめ
今回は、お客様と対等な関係を築きながら、会社を継続的に成長させる「ビジネスの3つの基本原則」についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
忘れないように、もう一度おさらいしておきましょう。
お客様と対等な関係を築くための「ビジネスの基本原則」
- ネガティブなこともすべて正直に伝える
- 他社との差別化を図る自社の強みを伝える
- 自社の価値観や考え方を繰り返し伝える
長く働いていると、時として「大きな取引」や「大きな案件」が目の前に現れることがあります。
ここで言う「大きな取引」とは自社よりも規模が大きい会社との取引のことを指し、「大きな案件」というのは日頃から受注している案件に比べて数倍、いや10倍以上もの売上が期待できる高額案件のことを指します。
「大きな取引」や「大きな案件」は中小企業にとって、大きな売り上げが見込める、まさにビッグチャンスです。
そんな時、
「何としても取引したい」
「何としても受注したい」
と思うのが当然でしょう。
しかしながら、取引する会社の規模が大きければ大きいほど条件が厳しく、高額な案件ほど多くの競合他社との相見積もりに勝利しなければなりません。
そのような状況下においては、
「取引先から提示された苦い条件を飲むか?」
「相見積もりを制するために自社の利益を削って大幅に安くするか?」
など、苦渋の決断を迫られることになります。
「他に良い方法はないか?」
と模索してみるものの、たいていの場合は妙案が見つからず、せっかくの大きな取引を逃すまいとする「焦り」や、このビッグチャンスをものにしたいという「欲望」から、不利な条件を承知で相手の条件を受け合いれるという結末に…。
みなさんも、1度や2度はそんな経験があるのではないでしょうか。
私が過去に在籍していたバラエティグッズの専門商社においても、似たようなことがありました。
ひと昔前までバラエティショップの多くは路面店でした。
店内はいつも子供たちで溢れ、まるで宝物を探すかのように文房具やファンシー雑貨、駄菓子やジュース、メンコやシールなどを手にしては目を輝かせていたように思います。
しかし、大型のショッピングセンターの登場によって状況が一変。
建物内には専門店街が設けられ、ショッピングセンターを訪れた家族連れや子供達は、そこで生活雑貨や衣類、文具や日用品などを買い揃えるようになり、路面店に足を運ぶお客様が年々減っていきました。
そんな中、バラエティショップや雑貨屋さんも、時代の変化に合わせて大型ショッピングセンターへの出店が主流となり、出店を後押しするファンシーショップや雑貨屋さんの「グループ」が誕生します。
グループの会員になる最大のメリットは、大型のショッピングセンターに出店しやすくなることですが、その他にも売れ筋商品や新商品の情報を共有できることなど、いくつかのメリットがある反面、会費が高いことでも有名でした。
グループに属している会員様が、ショッピングセンターに新たな店舗をオープンするときは、グループと提携している業者が店舗設計や陳列棚、販売する全ての商品を準備することになっていました。
古くからお付き合いがある取引業者であったとしても、グループと提携していなければ、新店舗をオープンする際の商品を納品することができません。
新たな店舗をオープンするということは、空っぽの陳列棚に商品を並べるわけですから、そこを埋めるように多くの商品を納品することができます。
納める商品のチョイスもある程度お任せいただけるので、発注された商品をピックアップするよりも格段に手間が省ける他、商品が売れた後の追加注文も期待できるので一石二鳥。
ただしグループと提携するためには、幾つかの厳しい条件をクリアする必要があり、詳細まではわかりかねますが、明らかに対等な関係ではなかったように思います。
私が勤めていた商社も、結果的にはグループと提携しましたが、しばしば無理難題を突きつけられ、頭を悩ます担当者の姿を見ることも1度や2度ではありませんでした。
グループとの提携によって売上も増え、結果的には新規のお客様も増えましたが、それらの売上やお客様は「グループと提携していたから」という理由で得られたものであり、自社の商品やサービスの魅力が引き寄せたものではありません。
もちろんグループを通じてお取引が始まった後、自社の商品やサービスに魅力を感じていただき、さらにお取引が増えたというケースもありますが、その逆もあり、店舗がオープンする時だけ納品して、その後の追加注文はほぼなし…というケースもしばしば。
結果だけを見ると、全体的に売上や新規のお客様が増えました。
しかしながら、個人的な見解を申し上げると、キレイごとだと言われるかもしれませんが、提携する際に、自社の商品やサービスをよくご理解いただいた上で、自社の魅力や強みを生かせるような形で、もう少し対等な関係でのお取引ができなかったものか?と思えてなりません。
ビジネスは、お客様との対等な関係の上に成り立っています。
ビジネスの基本原則を無視したお取引が、長く続くことはありません。
実際に上記でご紹介したグループは、数年後には脱退するお店が続出し、存続が危うくなったと聞いています。
最後にもうひとつ。
「日々の業務に追われて、重要な仕事に費やす時間が足りない…」
「経営戦略や人事、新事業について専門分野の人に相談したい…」
という経営者・役員・マネージャーの皆様に画期的なサービスを2つご紹介いたします。
そのサービスとは、
- オンラインアシスタント
- スポットコンサルティング
です。
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ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただき、ほんとうにありがとうございました (^.^)