「経営者とはどのような存在であるべきか?」
「会社を経営する際、最も重要なことは何か?」
「経営者にとっていちばん大事なことは?」
というあなたに、今回は
- 経営者とはどうあるべきか?
- 会社経営において重要なこと
について解説いたします。
そもそも、なぜ会社は存在するのか?
お金儲けをするため?
従業員の生活のため?
国に税金を払うため?
いいえ、いずれも違います。
それではあらためて、なぜ会社は存在するのか?
このシンプルな問いについて、
伊那食品工業株式会社の最高顧問を務めておられる塚越寛(つかこし ひろし)氏は、著書で以下のようにおっしゃっています。
会社にはそれぞれ、めざす理想像があると思いますが、究極的に言うと、あらゆる会社に共通する経営の目的は「みんなハッピー」なのだと考えます。
会社というものが存在する理由は、一人でも多くの人を幸せにし、世の中をよくするためなのです。
出典:塚越 寛(2019)『末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営~』サンクチュアリ出版.
人々を幸せにして、世の中を良くするために会社が存在するのであれば、
そのために経営者はどうあるべきなのか?
また、会社経営において重視すべきことは何か?
早速見ていきましょう。
経営者とはどうあるべきか
経営者とはどうあるべきか?
- 会社の業績が下がり続けている…
- 優秀な社員が次々に去って行く…
- 社内で不祥事や諍いが絶えない…
など、
会社経営がうまくいかず、不安や迷いが生じたとき、会社を経営する立場にある人間は、
「経営者とは、一体どうあるべきなのか?」
と自問します。
あるいは、近い将来、自分の会社を作りたいと考えている方も同様に、
「経営者とは、どのような存在か?」
と考えることになります。
経営者のあるべき姿については、いろんな考え方があって当然ですし、
「これが正解」
と言えるものはありませんが、
「これだけは間違いない」
「これだけは絶対に外せない」
「これを抜きに考えられない」
というものが、3つあります。
経営者のあるべき姿
- 社員や取引先、お客様や社会から信頼される存在
- 会社の理念を自ら体現し、社員に浸透させる存在
- 未来を創造し、会社が進むべき方向性を示す存在
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
社員や取引先から信頼される存在
経営者とはどうあるべきか?
経営者とは、社員や取引先、お客様や社会から信頼される存在であるべきです。
周りの人から信頼されていない経営者は、「裸の王様」と言わざるを得ません。
信頼を欠く経営者は、何をどう伝えても社員の心に響くことはありませんから、表向きは社員が従っているように見えても、それは単なる上下関係によるものであり、心は離れています。
取引先やお客様との関係においても、経営者が信頼できる人物でない場合、利害関係が少しでも崩れたり、自分たちのメリットがなくなると、たちまち見切りを付けられることは想像に難くありません。
対照的に、経営者が信頼できる人物であったなら、
たとえ給料が低くて、職場環境が満足できるものではなかったとしても、
「一緒に会社を成長させましょう!」
と、会社の将来を期待する頼もしい社員が、あなたを支えてくれるでしょう。
あるいは、会社の規模が小さく、十分なお取引ができなかったとしても、
「あなたなら信用できる」
と、快くお取引に応じてくださる協力会社がきっと現れることでしょう。
あるいは、競合他社から発売された商品が、あなたの会社の商品よりも少しばかり安かったとしても、信頼できる経営者がいる、信頼できる会社が作った商品であれば、
「この会社の商品がいちばん安心できる」
と、お客様は次回も自社の商品を手にとってくださるでしょう。
経営者をはじめ、会社や商品に対する信頼は、社員や取引先の信頼を育むだけでなく、商品やサービスを販売する上で、莫大な予算を投じて作られた広告宣伝や、派手なプロモーション戦略よりもはるかに効果があります。
信頼は、日頃からの経営者の発言や行動の「積み重ね」によってのみ授けられるものであり、決してお金では買うことができないことを、忘れてはなりません。
そして、「経営者のあるべき姿」がここにあります。
信頼できる社員が育つためには、まず、経営者が社員や社会から信頼されていることが欠かせないと思います。
経営理念と社是に沿った、正しい行動を重ねていることが大前提です。
出典:塚越 寛(2019)『末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営~』サンクチュアリ出版.
会社の理念を社内に浸透させる存在
経営者とはどうあるべきか?
経営者とは、会社の理念を自ら体現し、社員に浸透させる存在であるべきです。
経営者にとって最も大事なことは、「理念を掲げて社内に浸透させること」です。
会社の理念とは、
「会社の根底にある、変わることのない考え方」
であり、一般的には「企業理念」と呼ばれています。
企業理念の中には、経営理念や社是、ビジョンやミッションなどがあり、経営者(会社)は自ら定めた理念のもと、会社運営または会社経営を行います。
経営者が会社の理念を作って掲げることは大切なのですが、ただ単に掲げるだけではまったく意味がありません。
会社の理念は、会社で働くすべての従業員に浸透してこそ機能するものであり、浸透させるためには、まずはじめに経営者がお手本となって、会社の理念に沿った言動を心がけることが必要不可欠です。
業績を左右するほどの、大きな意思決定を行うとき、
会社のミスによって、お客様に多大なご迷惑をおかけしたとき、
新事業をスタートするにあたり、会社の方向性を示すとき、
経営者は、私利私欲を捨て去り、目の前に転がっている大きな利益に目もくれず、迷うことなく会社の理念に従って自ら決断を下し、率先して会社の理念の重要性を体現する。
そうすることで、経営者の「理念を軸としたブレない経営」を目の当たりにした従業員は、会社の理念の重要性を知ることになり、静かに、そして、ゆっくりと、心の中に会社の理念が染み渡るのです。
そして、「経営者のあるべき姿」がここにあります。
経営者が毎回違うことを言ったり、理想を語るばかりで自分が実践しなかったりしていては、社員はついてきてくれません。
経営者自身の行動が伴っていて初めて、理念は社員の心を動かし、その行動をも変えることができるのだと思います。
出典:塚越 寛(2019)『末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営~』サンクチュアリ出版.
未来を創造し、方向性を示す存在
経営者とはどうあるべきか?
経営者とは、未来を創造し、会社が進むべき方向性を示す存在であるべきです。
経営者とは、会社における最高責任者であり、最高意思決定者に他なりません。
言うなれば、幸福という名の財宝を求めて出航した、会社という船の舵取りをする船長です。
経営者の判断ひとつで財宝を見つけられるかどうかが決まることを考えると、従業員に会社が進むべき方向を示すことが、どれほど重要であるかお分かりいただけると思います。
「この方向に進むと、幸福という名の財宝が眠っている」
と、確信を持って従業員に伝えるためには、日頃から世の中の動きを敏感にキャッチして、変わるものと変わらないものを冷静に判断し、ものごとの本質を見極め、経営者自らが多くを学ぶ必要があります。
- 権力に溺れ、肩書きだけで偉そうにする経営者
- 自分の考えが常に正しいと思っている経営者
- 私利私欲を貪り、私腹を肥やすことしか考えない経営者
そのような経営者が正しい決断を下せるはずはなく、ましてや、会社の未来や会社が進むべき方向性を示すことなどできるわけがありません。
「経営者を目指している」
という方は、経営者になる方法よりも、経営者として生きていく覚悟をすべきであり、
「自分の会社を経営したい」
という方は、経営者になって一儲けすることよりも、
「どうすればより多くの人に幸せを届けることができるだろう?」
と、考えるべきでしょう。
経営者の本来あるべき姿を先に考えておくことは極めて重要です。
なぜなら、同じ船(会社)に乗り合わせた従業員の幸福は、経営者次第なのですから。
経営者の本来あるべき姿とは、社員を幸せにすること、そして、それを通じて世の中の幸せに貢献することです。
そのために、よく学び、そこから導き出した理念にのっとり、勇気をもって、人の行かぬ道を歩む。
時代の変化をしっかりと見極めながら、次代を狙う経営者や社員たちに必要な研究開発投資をおこなう。
それが経営者の道だと思います。
出典:塚越 寛(2019)『末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営~』サンクチュアリ出版.


会社経営において重要なこと
会社経営において重要なことは何か?
会社経営において、最も重要なことは「会社が存続すること」です。
会社が存続しなければ、
新たな雇用を創出し、社員の幸せを通じて社会に貢献することはできません。
そして、
新商品や新サービスを通じて、顧客に新たな価値を届けることもできません。
つまり、
会社を1年でも長く存続するための取り組みが、会社経営において最も重要なこと
と言えるでしょう。
ちなみに、2020年に倒産した企業の平均寿命は23.3年で、2年連続で前年を下回っています。
2020年の倒産企業の平均寿命は23.3年で、前年から0.4年短縮した。2年連続で前年を下回り、2006年以降の15年間では、2014年と2017年(23.5年)に次ぐ9番目の長さとなった。
~中略~
2019年は深刻な人手不足、消費税増税で倒産が増加、2020年は新型コロナ感染拡大で経営環境は大きく変化した。
甘い事業計画や脆弱な経営基盤のため、創業間もなく事業が頓挫する企業が増え、2020年は2年連続で平均寿命が短縮した。
2020年「業歴30年以上の“老舗”企業倒産」調査 : 東京商工リサーチ
では、会社を1年でも長く存続するためには、どのような取り組みが必要か?
ざっくり言うと
- 商品やサービスが自動的に売れる仕組みを作る
- 新事業や研究開発、社員や会社設備に投資する
ことではないでしょうか。
自社の商品やサービスが売れる仕組みを構築する、あるいは営業や販売において、効率的に売れる仕組みを作ることによって、まずは売るための時間と労力を抑える。
そうすることで得た余剰の人員や資金を元に、新商品や新サービスの開発をはじめ、新事業や研究開発、職場環境の改善や会社の設備に投資したり、利益を生み出してくれた社員に還元し、地域社会に貢献するのです。
上記の好循環を生み出し、盤石な経営基盤を築き、常に改善やチャレンジを続けることができれば、未来永劫とまでは言いませんが、会社を長く存続することは叶うでしょう。
会社には終わりがありません。
ですから、成長を急ぐのではなく、働く人が幸せを感じるような会社をつくって、永続させていくことが肝要なのです。
出典:塚越 寛(2019)『末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営~』サンクチュアリ出版.
まとめ
今回は、
- 経営者とはどうあるべきか?
- 会社経営において重要なこと
について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
忘れないように、もう一度「経営者とはどうあるべきか?」をおさらいしておきましょう。
経営者のあるべき姿
- 社員や取引先、お客様や社会から信頼される存在
- 会社の理念を自ら体現し、社員に浸透させる存在
- 未来を創造し、会社が進むべき方向性を示す存在
VUCA(「ブーカ」と読みます)という言葉が示すように、ビジネスを取り巻く環境は、常に不安定(Volatile)で不確実(Uncertain)、複雑(Complex)で曖昧(Ambiguous)です。
そのため、ある日を境に自社の商品やサービスの売れ行きが悪くなったり、販売すること自体が難しくなるなど、予期せぬことが原因で、会社経営が立ち行かなくなることも考えられます。
では、そのような予測不可能な事態に備えるには、日頃から何をすればいいのか?
危機管理体制を整備することや、もしもの時に備えて資金を蓄えることも、方法としてはありますが、個人的な見解を申し上げると、
「ファンをつくること」
が、最も大切ではないかと考えます。
- 商品やサービスのファンをつくる
- 会社や経営者のファンをつくる
- 自社ブランドのファンをつくる
つまり、
「この商品でなければならない」
「この会社の商品を選び続けたい」
「このブランドが私にはいちばん」
と、お客様に思っていただけるように、会社が行うすべての活動を、細部に至るまで丁寧に、そして、社員やお客様を幸せにすることを第一に考え、会社を経営する。
そうすることで、「変えの効く商品」ではなく、お客様にとって「意味のある商品」を作って、少しずつファンを増やすのです。
そして、日頃から、
「経営者とはどうあるべきか?」
と、自問し続けることによって、経営者として更なる高みを目指す。
不測の事態が起きて、会社が存続の危機に陥ったとき、ファンはそのような会社を絶対に放っておきません。
「少しでも力になれたら…」
そんな思いで、今までと変わらず商品を購入したり、サービスを利用したり、様々な支援をして下さったり、多くの暖かい言葉や応援メッセージを届けてくれることでしょう。
その結果、経営者や社員が
「なんとしてもファンの期待に応えたい!」
「この会社をここで潰すことは断じてできない!」
という、
強い気持ちを持つことができたなら、再起を図ることは可能だと個人的には思っています。
あなたの会社が、社員を幸せにすることで社会に貢献し、多くのファンを作って、永続することを心から願います。
景気に流されない経営スタイルを確立できるかどうか。
ここで経営者の本当の手腕が問われます。
出典:塚越 寛(2019)『末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営~』サンクチュアリ出版.
最後にもうひとつ。
「日々の業務に追われて、重要な仕事に費やす時間が足りない…」
「経営戦略や人事、新事業について専門分野の人に相談したい…」
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そのサービスとは、
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ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただき、ほんとうにありがとうございました (^.^)