職場の人間関係を円滑にするにはどうすればいいか?
人が同じ場所に集まって仕事をする以上、今も昔もこの問題がなくなることはありません。
職場で感じるストレスの第1位は依然として「人間関係」です。
パワハラやセクハラは論外として、
- 正当な評価をしてもらえない
- 部下がルールを守らない
- 上司の指導力がなく威圧的
- チャットで陰口を拡散される
- 自分の価値観を押し付ける
など、ストレスを生み出す原因は多種多様で、数え上げればキリがありません。
上司や部下との関係だけにとどまらず、先輩社員や入社したばかりの社員、同僚やチームメンバーとの人間関係からもストレスを感じるケースは多く、人とのコミュニケーションを要するあらゆる場面で、大なり小なり人間関係によるストレスは必ず生じます。
自分なりのストレス解消法があればいいのですが、週5日間、1日の大半を過ごす職場で受けるストレスを発散することは簡単ではありません。
日々ストレスを抱えながら仕事を続けると、精神的な苦痛だけでなく頭痛やめまい、手足の痙攣や不眠症など、放っておくと身体的な症状も現れ、ひどくなると日常生活に支障をきたすだけでなく、長期化すると仕事を続けることができなくなる可能性もあります。
環境を変えようと上司や同僚に相談する、人事部や総務部に相談する、あるいは最終手段として社長や経営幹部に直接話を聞いてもらったとしても、よほどのことがない限り、すぐに異動や配置転換は望めないでしょう。
では職場でのストレスを軽減するにはどうすればいいのでしょうか?
これからその答えを探っていきましょう。
職場の人間関係を円滑にするには?
職場の人間関係を円滑にするにはどうすればいいか?
結論から申し上げると、職場でのストレスをゼロにすることはできません。
職場の人間関係を円滑にするには、日頃からストレスを「溜め込まない工夫」が必要です。
ではストレスを溜め込まないためにはどうすればいいか?
自身の考え方を変えるか、あるいはコミュニケーションの方法を変える他ありません。
今回ご紹介する方法は、職場でストレスを感じ始めた方にオススメの
- 職場の人間関係を円滑にする考え方
- コミュニケーションを円滑にするコツ
です。
とてもシンプルで、誰にでも実践できますので、職場に限らず、日々の生活の中で多少なりともストレスを感じていらっしゃる方は、ぜひお試しいただければと思います。
それでは早速見ていきましょう。


職場の人間関係を円滑にする考え方
職場での人間関係を円滑にする考え方をお話しする前に、仕事の基本を再確認しておきましょう。
「相手の役に立つために、自分がどうすべきか」
これが仕事における基本的な考え方であり、これを無視すると満足する結果は得られません。
仕事の基本が理解できたところで、次に人とのコミュニケーションの基本は何なのか?ということになりますが、これも仕事の基本とほぼ同じ。
「自分の言いたいことなど、相手は聞きたくない」
「どうしたら相手が喜ぶか?」「相手は何を聞きたがっているか?」を考えて、工夫しながらコミュニケーションを行うのです。
つまり仕事もコミュニケーションも、「相手に喜びを与えること」が基本となります。
これこそが、コミュニケーションの極意であり、秘訣であり、基本的な考え方です。
職場での人間関係を円滑にするには、相手が喜ぶことを話し、相手が喜ぶことを伝え、相手が喜ぶ表現を使い、相手が喜ぶ結果をイメージしながら、自分自身が工夫してコミュニケーションを行う。
これ以外に方法はありませんし、逆に言うと、これだけ気をつけていればいいのです。
自分が話をする時は相手に喜びを与える工夫をするとして、では「相手の話を聞く時は何を意識すればいいのか?」という疑問が浮かんでくると思います。
それに対しても、答えは至ってシンプルです。
「自分の役に立つものや意味があるものだけを真剣に聞いて、あとは適当に受け流す」
そんな方法でいいの?と思われるかもしれませんが、よく考えてみてください。
そもそも自分が役に立たないと思っていることや、意味がないと思っていることに対して、真剣に耳を傾けることができるでしょうか?
それがたとえ社長の話であっても、上司の話であっても、相手が話す内容を全て真剣に受け止めていたら、すべて相手の言う通りに行動することになってしまいます。
するとどうなるか?
積極的に「自分の頭で考えること」をしなくなり、自発的な行動は愚か、自分の意見を口にすることもなく、ただ指示を待つだけの人間になってしまいます。
会社としても、全てこちらの指示通りに動く人間を育てたいわけではないでしょうし、もし仮に会社がそれを望んでいるとすれば、その会社から画期的な商品や斬新なサービスを生み出すのは難しいかもしれません。
自分の意思とは関係なく、膨大な情報が入ってくる情報化社会において、耳に入る情報を全て真剣に聞いていては時間がいくらあっても足りませんし、無意識のうちに「ものごとを取捨選択する自由」を奪われてしまいます。
少し話がそれましたが、職場での人間関係を円滑にするには、まずコミュニケーションの基本を押さえ、「相手に喜びを与えること」を意識してコミュニケーションを行うこと。
明日からでもかまいません。
職場だけに限らず、家族や友人と過ごす時も、「相手に喜びを与えること」を意識しながらコミュニケーションを行うと、明らかに相手の反応が変わり始めます。
ぜひお試しくださいませ。
コミュニケーションを円滑に行うコツ
前項で申し上げた「相手に喜びを与えること」を意識したコミュニケーションだけでも十分効果はありますが、実はもうひとつ、コミュニケーションを円滑に行うコツがあります。
それは、自分と相手との「共通点」を探しながら、コミュニケーションを行うことです。
具体的には、自分が持っている知識や経験、興味の対象や好きなこと、考え方や価値観、その時の気分など、相手の中に自分と重なる「共通点」を見つけ出して、時おりその共通点に触れながらコミュニケーションを行うのです。
共通点が見つかると、相手は自分に対して親しみを感じ、少しずつ心を開放してくれます。
心を許し合うことができれば、喜びを分かち合うことができますから、コミュニケーションが円滑になるだけでなく、「助け合い」や「思いやり」といったプラスの感情が生まれます。
コミュニケーションの相手が一人や二人の場合は共通点を見つけやすいのですが、数人でのミーティングや10人以上の会議になると、なかなか全員の共通点を見つけることができません。
いわゆる「場の空気を読む」とは、まさに参加者全員の「共通点を見つけること」と言い換えることができるでしょう。
では大勢の中で「共通点」を見つけるためにはどうすればいいか?
空気を読むための第一歩は、自分の価値観、世界観を一旦停止する。
つまり自分の考え(思考)をいったん脇に置いて、周囲の人たちの「輪」を注意深く観察する。
別の言い方をすると、主観から客観へと意識を変えるのです。
そうすることで視界が開けて、周りの人たちの思考や、主義主張などが少しずつ見えてくるようになります。
それでも共通点を見出せない時は、どうするか?
そんな時は全員の意表をつく話題を持ち出して、注意を向けさせるのも一つの方法です。
例えば会議の場で各々が自分勝手な考えを言い出したタイミングで、
「もし来月から売上が半分になったとしたら…」
「仮に今の予算の半分しか使えないとしたら…」
「もしもこの事業が将来の会社の柱になるとしたら…」
など、誰もが想像し得ない状況を例に出し、参加者の思考を束ねることによって、「共通点」を作ってから、全体のコミュニケーションを立て直す。
少し高度なテクニックですが、そんな方法もあります。
人間は自分勝手な生き物ですから、ついつい自分の言いたいことを言ってしまう、自分の意見が正しいと思ってしまう、そして、自分と異なる意見を素直に受け入れることができない…それはある程度仕方のないことかもしれません。
だからこそ、自分から率先して相手との「共通点」を見つけることが重要であり、それを実行することがコミュニケーションのコツと言えるのでしょう。
価値観や考え方が異なる相手でも、何となく苦手意識がある相手でも、普段は無口で何を考えているかわからない人でも、何かしら「共通点」はあるはずです。
職場の人間関係を円滑にするために、「共通点探し」をはじめてみませんか?


職場の人間関係に疲れた時は、逃げる
ここまで職場の人間関係を円滑にする方法として、
1)相手に喜びを与えることを意識したコミュニケーションを行う
2)コミュニケーションのコツは、相手との共通点を見つけること
についてお話ししてまいりましたが、
何をどう頑張っても今の職場で良好な人間関係を築けない…ストレスに耐え難い…仕事のモチベーションが上がらない…会社に行きたくない…体調を崩してしまった…など、「職場の人間関係に疲れた」という方もいらっしゃると思います。
無責任とだと言われるかもしれませんが、そんな時は「逃げる」。
今いる会社を辞めて、転職や起業するなど、新たなスタートを切ることをオススメいたします。
職場の人間関係だけでなく、会社の方針や上司の不当な評価が原因で大きなストレスを抱えてしまい、精神的に耐え難い、あるいは体調を崩してしまう恐れがある場合は、状況が悪化する前にとにかくその場から離れる、距離を置くことが大切です。
残念ながら、職場環境がすぐに改善されることは期待できないでしょう。
そうなると、自分の中でものごとの捉え方を見直したり、心の持ち方を変えるしか方法はありません。
- モチベーションが上がる言葉に触れる
- 心の持ち方を変える本を読む
- 心を癒してくれる曲を聴く
など方法はいろいろありますが、私の経験から言うと、それらを試すことで一時的にモチベーションが上がったり、精神的に落ち着きを取り戻すことはあっても、ストレスによる症状や日々の不安を解消することは極めて難しい…というのが正直なところです。
「今いる環境を変える努力をする」ことも大切ですが、例えば会社内で下の立場にある人間が、上の立場にある人間に対して意見したり、勇気を振り絞って行動することは、大きな心理的負担が生じますから、誰もができるわけではありません。
ましてや横柄な態度を取る人やプライドが高い人、自分の考えや行動に自信を持っている人を相手に人間関係を再構築する場合はなおさらです。
賛否両論はあるでしょうが、職場の人間関係に疲れた時は、その場所を離れるのがいちばん。
モチベーションが上がらないまま仕事を続けても、良い結果が生まれることはほぼありませんし、精神的に病んでいると集中力も低下しますから、仕事上のミスも増えたり、さらに体調を崩して会社を休みがちなる可能性も否定できません。
精神的にも身体的にもボロボロになるまで頑張ったのですから、これ以上無理をする必要は1ミリもありません。
自分のことを一番に考えて、自分を大切にして、一刻も早くその場から「逃げる」。
人によって様々な立場や状況が考えられますから、すべてのケースで「逃げる」ことが正解とは言えないかもしれませんが、いかなる状況であっても、「まずは自分のことを最優先に」というのが私の考えです。
余談になりますが、「逃げる」という表現やそのイメージから、「逃げる行為」についてマイナスの印象を受ける方も多いと思いますが、社会的な側面から見ると実はプラスの要素もあります。
「逃げる人」が増えることで、社員間の円滑なコミュニケーションを構築することに無頓着な会社や、従業員のモチベーションを重視しない会社からどんどん人が離れていきます。
するとどうなるか?
そのような会社は、職場環境を改善しない限り、いずれ淘汰されることになるでしょう。
つまり職場環境や社員のモチベーションを気にかける会社、社員同士が協力し合う会社、人間的な成長を重視する会社だけが生き残る、あるいは繁栄するというわけです。
そう簡単にいかないことは百も承知ですが、少しずつでもそのような企業が増えることを切に願います。
まとめ
ということで、今回は「職場での人間関係を円滑にする、コミュニケーションのコツ」についてお話ししてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
もう一度おさらいしておきましょう。
職場の人間関係を円滑にするには?
1)相手に喜びを与えることを意識したコミュニケーションを行う
2)コミュニケーションのコツは、相手との共通点を見つけること
実は私も職場で大きなストレスを抱え、体調を崩したことがあります。
食事が喉を通らなくなり、頭痛やめまい、手足の痙攣や消化器官の不調などの症状が顕著に現れ、毎日「あの角を曲がれば会社に着く」というところで何度となく立ち止まる…足が前に進まない…そんな日々が半年ほど続きました。
限界ギリギリのところで奇跡的に状況が改善されたため、会社を辞めずに済んだものの、あと1ヶ月同じ状況が続いていたら、確実に退職届を出していたでしょう。
みなさんはそこまで我慢する必要はありません。
職場の人間関係に疲れ切った時は、体調を崩す前に、できるだけ早く今の職場を去る準備をした方がいいでしょう。
最後に、大切なことをもうひとつ。
もしあなたが職場の人間関係によるストレスで、心が疲れている…誰かに悩みを聞いて欲しい…解決策について相談したい…気持ちを落ち着かせたい…という方は「オンラインカウンセリング」の利用をおすすめいたします。
オンラインカウンセリングとは、臨床心理士や国家資格を持つカウンセラーと1対1で約50分程度、オンライン上で気軽に悩みを相談できるサービスです。
具体的には、
- 自分の感情を素直に表現し、悩みを打ち明けることによって気持ちを落ち着かせる
- 日頃から抱えている悩みや問題をカウンセラーと一緒に考えて、解決の糸口を見出す
- 心の中にしまっていた気持ちを話すことで、今置かれているの自分の状況を整理する
- カウンセラー(専門家)の話を聞くことで、客観的な視点から自分の考えを認識する
ことによって、
ひとりで抱え込んでいた不安や悩みを和らげ、心の健康を取り戻す効果が期待できます。
私がそうであったように、心の不調が身体的な症状(心身症)に発展すると、心と体が健康な状態に戻るまで数ヶ月~数年かかることもありますから、今現在、職場の人間関係による強いストレスに悩まされていて、大きな不安を抱えていらっしゃる方は、自分の心と体を最優先に考えて、オンラインカウンセリングの利用を含め、心のケアやリフレッシュ、あるいは、ストレスの原因から距離を置くことを検討してみましょう。
ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました (^.^)
以下、この記事を読んでくださった方へ「オススメの記事」をピックアップしましたので、お時間がございましたらぜひご一読くださいませ。





- 参考文献 アルボムッレ・スマナサーラ(2012)『一生、仕事で悩まないためのブッダの教え』三笠書房.
- 参考文献 山口 周(2019)『ニュータイプの時代 ー新時代を生き抜く24の思考・行動様式』ダイヤモンド社.