自社商品の開発を考えているが、どのように目標設定すればいいかわからない…
自社商品を開発するにあたって、目的や方向性がいまいち定まらない…
とお悩みの方に、今回は、「中小企業が自社商品を開発する3つの目的」をお伝えします。
中小企業や小さな会社が売上を追い求めて自社商品の開発を行うと、高い確率で痛い目にあいます。もちろん売れることもあるでしょうが、「売れ続ける」ことは決してありません。
なぜなら、売上は「目的」ではなく「結果」だからです。
売上を伸ばすためには、最終的に作った商品がお客様に選ばれる必要があります。
お客様に選んでいただくためには、数ある商品の中から自社の商品を手に取ってもらう明確な理由、つまり「他社との差別化を図る自社独自の強み(USP)」が必要不可欠です。
そして、USPを見出すためには他社の商品をリサーチしたり、社内に眠っている強みを発掘したり、あるいは差別化できそうなアイデアを、脳みそに汗かきながら捻り出さなければなりません。
商品のコンセプトやターゲット、デザインや価格、ネーミングや販売ルート、広告宣伝や販促プロモーションなど、その他にも考えるべきことは山ほどあります。
ここまでお話ししただけでも、売上アップを目的にすることがいかに滑稽か?お分かりいただけるのではないでしょうか。
さらに誤解を恐れず言うならば、売上アップを目的に「ああすれば売れる」「こうすれば売れる」といった短絡的な発想から生まれる商品のほとんどは、ユーザーが最も判断しやすい価値基準である「価格」を安くする戦略に行き着くことが多いように思います。
では売上アップを目的にしないのであれば、自社商品を開発をする目的は何か?
何を目的に自社商品を開発すれば、結果として売上アップにつながるのか?
早速見ていきましょう。
自社商品を開発する目的
中小企業や小さな会社が、自社商品を開発する真の目的とは何か?
それは「価値創造と人材育成」「市場開拓と顧客発掘」「企業ブランディング」です。
自社商品を開発する3つの目的
- 新たな価値を創造し、優秀な人材を育成する
- 新たな市場を開拓し、まだ見ぬ顧客を発掘する
- 新たなイメージを作り、企業ブランディングする
上記3つの目的を常に意識しながら自社商品の開発を行うことで、一時的な売上よりも、もっと大きな恩恵を継続的にもたらしてくれます。
それではひとつずつ詳しく見ていきましょう。
価値創造と人材育成
自社商品の開発とは、会社にとって新たな価値を見出すことに他なりません。
会社が掲げるビジョンやミッションのもと、まだ世の中にない価値をお客様に提供する、これこそが商品を開発する目的だと考えます。
「新たな価値」と言っても、誰もが驚くような画期的な商品を開発する必要はありません。
既存の商品に今までになかった要素を加えた新商品を作るだけでも、新たな価値はいくらでも見出すことができます。
原料や素材を変える、あるいはそれらをプラスする。
流行のデザインやカラーを追加する。
内容を増量したりパッケージをリニューアルする。
これだけでも、今まで見過ごされていたお客様を振り向かせることができるかもしれません。
商品の内容や見た目も大切ですが、「買いやすくする」ことも重要です。
- オンラインショップで買えるようにする。
- ネットショップでの決済方法を増やす。
- 商品の説明を詳しく、わかりやすく書き直す。
- 具体的な使用方法やお客様の声を追記する
など、全く新しい商品を開発せずとも、商品を必要としている人たちに価値が伝わるようにする施策も、自社商品開発の一環と言えるのではないでしょうか。
もちろん、やがては売り上げの柱となる自社商品の開発に投資するのも大いに結構。
というか、一定数の人員を割いて日頃から行うべきでしょう。
なぜならまだ見ぬヒット商品や主力商品を生み出そうとする試みは、それに携わるメンバーの成長を促すための「最高の人材育成の場」になるからです。
人間は答えのない問いに正対すると、自分の頭で考えるようになります。
自分の考えが元で良い結果をもたらした時、例えようのない喜びや達成感を味わうことができ、それが大きな自信につながることは言うまでもありません。
一方で、うまくいかなかったときは、自分の実力を真正面から受け止めることになりますから、
自分に何が足りなかったのか?
どうすればよかったのか?
と、自分の判断やそれに基づく考えを振り返る良い経験となり、必ず次の仕事に活かされます。
このような貴重な体験は日頃の業務から得ることは難しく、経営者意識を芽生させることにおいても有効ですから、「人材育成を目的とした自社商品の開発」という発想も大いにアリだと思います。
市場開拓と顧客発掘
市場を開拓すること、顧客を発掘することは会社の未来を切り開くために必要不可欠な要素です。
それについて異論を唱える人はいないでしょう。
ここにも「売上」という言葉は登場しません。
くどいようですが、売上は新たな市場を築いたり、新たな顧客を獲得する過程において得られる成果=ご褒美のようなものであり、それ自体が目的ではないということを念押ししておきます。
ここでいう市場とは商品を販売する場所、つまり販路(販売ルート・マーケット)です。
既存の商品でも切り口や視点を変えることで新たな販路を開拓したり、新たな顧客を獲得することはできますが、元からあるイメージが邪魔をして市場に受け入れられない、あるいはお客様に敬遠される可能性が高いことを考えると、先入観を持たない新たな商品、とりわけ自社商品を開発する方が、市場開拓や顧客発掘には適しています。
ただし先入観が全くないからといって、自社商品(新商品)がすんなりお客様に受け入れらるかどうかは別問題。
競合する商品との兼ね合いや、お客様のニーズやウォンツ、自社の強みや効果的なプロモーションなど、様々な要因が絡んできますから、お客様に買っていただくこと簡単ではありません。
斬新な商品であればあるほど得体の知れない不安や失敗したくない心理が働いて、「まずは様子見」「広く浸透してから」というお客様も少なからずいらっしゃいます。
いずれにしても、市場を開拓することで新たなお客様と出会う機会が増えますし、ターゲット(買って欲しいお客様)を明確にすることでアプローチする方法や手段が自ずと定まってきますから、市場開拓と顧客発掘はセットで考えて、相互を行き来しながら最適なカタチを模索すると良いでしょう。
商品を売るための最も簡単で効果的な方法は、既存の販売ルートや既存のお客様にアプローチすることだと言われています。
そのため、自社商品を開発する際に開拓した販路や顧客は、会社の販売力を強化してくれます。
市場開拓と顧客発掘を目的に自社商品の開発を行うことは、商品それ自体が生み出す利益はもとより、長い目で見ると、会社にとって大きな成果をもたらしてくれるに違いありません。
企業ブランディング
みなさんも一度は耳にしたことがある「ブランディング」という言葉。
ここでは「企業」を頭につけて「企業ブランディング」としていますが、まずはブランディングの意味や解釈を確認しておきましょう。
「ブランド」とはお客様が企業に対して抱くイメージです。
そして「ブランディング」とは、お客様に共感や信頼を寄せていただくために行う「企業のイメージづくり」、あるいはブランドを形成する要素を強化するマーケティング戦略を指します。
ではなぜ企業ブランディングが自社商品の開発の目的となり得るのか?
例を挙げてご説明しましょう。
私ごとで恐縮ですが、ブランドと言って真っ先に頭に思い浮かぶのはアップル製品です。
ご存知の通りiMacやiPhone、iPadやアップルウォッチなど、数々の革新的な製品を生み出しているアップル社は、「Appleブランド」として多くのユーザーに支持されています。
「アップル信者」とまではいきませんが、何を隠そう私もiMacとiPhoneを愛用しているアップルユーザーの一人です。
ではなぜアップルの製品を好んで使うようになったのか?
アップル製品との最初の出会いは何か?
私の場合はiPhoneでした。
産みの親であるスティーブ・ジョブズさんのことも程なく知りましたが、あくまでも私が魅了されたのはiPhoneという製品であり、それ以外の何物でもありません。
ブランディングの話になると、ロゴマークやデザイン、Webサイトやパッケージ、チラシやパンフレット、その他の販促プロモーションといった、表面的で目に見えるものを統一するという意味に取り違えている方がいらっしゃいます。
確かにブランドの統一感を出すことは大切ですが、ブランディングにとって一番大切なことは、ブランドを象徴する商品やサービスそのもの。
もっというと、まずはじめに会社のビジョンやミッションがあって、それを踏襲したブランドアイデンティティがあり、それを形にした商品やサービスがブランディングの出発点です。
先にご紹介した表面的な要素は、商品やサービスをより理解していただくためのものであり、ブランドを形成するひとつの要素ではありますが、あくまで商品やサービスを補完するものだということを忘れてはなりません。
つまり、ブランディングの出発点は紛れもなく自社商品の開発であり、ブランディングを意識しながら、ブランディングを目的に自社商品を開発することが、最終的には「企業ブランディング」へとつながっていくのです。
まとめ
今回は、自社商品の開発を行う3つの目的を提案・ご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
忘れないように、もう一度おさらいしておきましょう。
自社商品を開発する3つの目的
- 新たな価値を創造し、優秀な人材を育成する
- 新たな市場を開拓し、まだ見ぬ顧客を発掘する
- 新たなイメージを作り、企業ブランディングする
今回なぜこのようなテーマでお話ししたのか?
それは自社商品の開発が同じ部署で繰り返し行われていると、商品開発すること自体が義務になっていたり、上司の指示通り開発を進めていたり、本来の目的や意味を忘れてしまうことがあるからです。
お恥ずかしながら、私も過去にそのような時期がありました。
既に自社商品の開発に携わっている方も、これから商品開発を行う方も、商品開発に対する固定概念を手放して、その目的や意味をもう一度考えて見てはいかがでしょうか。
この記事がそのきっかけになれば嬉しい限りです。
商品開発に携わっているリーダーや責任者は、上司から「売上の見込み」を聞かれたことや、「売上目標」の提出を迫られたことが一度や二度はあると思います。
例に違わず私も会社員時代に似た様な質問を何度となく受け、幾度となく受け流し(その節はすみませんでした…)、それでも問いただされたときには「これぐらいかな?」という目分量でそれっぽい売上を提出してきました。
だからと言うわけではありませんが、提示した売上目標に近い数字(売上結果)を出したことはただの一度もありません。
大抵は大きく下回るか、大きく上回るかどちらかでした。
みなさんはいかがでしょうか?
ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました (^.^)
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