「商品企画を行う際の、詳しいプロセスが知りたい」
「商品企画につながるアイデアの出し方や選び方は?」
「商品の企画書を作るときに欠かせない項目は?」
というあなたに、今回は、商品企画のプロセスを、アイデアの出し方から選び方、企画化に至るまで、どこよりも丁寧に、わかりやすく解説いたします。
アイデアを出すことと、企画を立てることは、似て非なるもの。
企画とは、単にアイデアを出すだけでなく、いろんな人を巻き込みながら実現へと漕ぎ着けて、自ら定めた目的を果たすことが求められます。
商品企画に限って言うと、社内の人間をはじめ、仕入れ先や取引先の協力を得ながら、消費者に喜んでもらえるような商品を開発し、一定の売上を確保するまでのロードマップを描くことに他なりません。
とりわけ、中小企業や小さい会社の商品企画は、大企業に比べると人員が少ないため、アイデアを出すところから企画化までを、ひとりで担当することが多く、商品企画を任されたスタッフは、背中にプレッシャーをビンビン感じながら脳味噌をフル回転させることになります。
この記事では、前職のネット印刷において、数々の印刷商品を生み出し、ヒット商品へと育て上げた経験を持つ筆者が、自身の経験から商品企画のコツやノウハウを惜しみなくお伝えいたしますので、参考にしていただければ幸いです。
それでは早速見ていきましょう!
商品企画のプロセス
商品企画は、主に3つのプロセスがあります。
自分なりのアイデア発想法や、商品企画の考え方を確立している方は別として、初心者がいきなり商品企画を考えようとしても、大抵は迷走するか、良質な商品企画を生み出すことはできません。
まずは商品企画のアイデアを数多く出して、次に、出したアイデアの中から企画化するものを選び、最後に、ピックアップしたいくつかのアイデアを商品企画へと昇華させる。
このプロセスを踏むことによって、はじめて実現可能な商品企画が完成します。
商品企画のプロセス
- 商品企画のアイデアを出す
- 企画化するアイデアを選ぶ
- アイデアから企画を立てる
それでは、商品企画の3つのプロセスを、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
商品企画のアイデアを出す
商品企画の最初のプロセスは、「商品企画のアイデアを出す」です。
商品企画の基本は、いくつものアイデアを出すことです。
そして、商品企画につながるアイデアを、ひとつでも多くストックしておくことが、商品企画を出し続けるために欠かせません。
とは言うものの、なかなかアイデアが思いつかない…という方のために、商品企画のアイデアの出し方として、有効とされる3つの方法をご紹介いたします。
商品企画のアイデアの出し方
- メモ帳とペンを持ち歩く
- 付箋を貼るクセをつける
- 過去のヒット商品に学ぶ
それでは、ひとつずつ簡単に見ていきましょう。
メモ帳とペンを持ち歩く
商品企画のアイデアの出し方、ひとつ目は「メモ帳とペンを持ち歩く」です。
商品企画のアイデアは、机に座ってウンウン唸って考えれば出てくる…というものではありません。
そういう方も稀にいらっしゃいますが、基本的にはある日突然頭に思い浮かぶものです。
そんな時、頭に思い浮かんだアイデアを書き留めるアイテムとして、メモ帳とペンを携帯するのです。
スマートフォンのメモ帳アプリでもかまいませんが、メモ帳とペンを持ち歩くという行為自体が、
「商品企画のアイデアを出すぞ!」
という意志の表れとなって、無意識に商品企画のアイデアをキャッチするためのアンテナを貼ることができますから、面倒かもしれませんが、あえてアナログのツールである「メモ帳とペン」を持ち歩くことをオススメいたします。
付箋を貼るクセをつける
商品企画のアイデアの出し方、2つ目は「付箋を貼るクセをつける」です。
ビジネス書をはじめ、小説や漫画、雑誌や専門書など、本を読むときは、気になった箇所に付箋を貼るクセをつけましょう。
前項で申し上げた「メモ帳とペンを持ち歩く」と同様に、付箋を手元に置いて本を読む行為は、
「何か気になることはないか?」
「何か役に立つことはないか?」
「商品企画のヒントは落ちていないか?」
と、前のめりになって本を読むことができますから、いつも以上に読書に集中できることはもちろん、本に書いてある内容を深く理解することができます。
たとえ商品企画のアイデアにつながらなかったとしても、ビジネスのヒントや心の持ち方、普段の生活をより豊かで快適にする「きっかけ」を見つけることもありますから、ぜひお試しください。
過去のヒット商品に学ぶ
商品企画のアイデアの出し方、3つ目は「過去のヒット商品に学ぶ」です。
「ヒット商品」と書きましたが、ヒットしたテレビ番組やベストセラーとなった本、人気を博した有名人やファッションなど、過去に一世を風靡したものであれば、なんでもかまいません。
それらを単に眺めたり、聞き流すのではなく、
「なぜヒットしたのか?」
その理由やポイント、時代背景や引き金となった出来事などを考えてみるのです。
とりわけ、不特定多数の人を惹きつけたものは、商品企画のアイデアを出す上で大いに参考になるでしょう。
自社が取り扱っている商品カテゴリーとは全く関係がないジャンルであっても、ヒットした要素・要因さえわかれば、その部分だけを切り取って
「自社の商品に当てはめるとどうなるか?」
「今の時代に当てはめるとどうなるか?」
と考えてみる。
そうすることで、商品企画につながるアイデアが、パッと思い浮かぶことがあります。
ポイントは、「今ヒットしている商品」ではなく、「過去にヒットした商品」です。
企画化するアイデアを選ぶ
商品企画の次のプロセスは、「企画化するアイデアを選ぶ」です。
商品企画につながるアイデアを数多く出すことも大切ですが、その中からどのアイデアを企画化するか?も同じか、それ以上に重要です。
アイデア選んで企画化するということは、
「このアイデアを商品化すれば必ず売れる!」
と判断することと同義です。
当然ながら、企画化した商品が必ず商品化されるわけではありませんし、商品化したとしても必ず売れるわけではありませんが、アイデアを選ぶ時点で判断を誤ると、その後、企画化するための時間と労力をはじめ、商品開発に費やすコストを無駄にすることになります。
もちろん、経験やノウハウの蓄積という意味では、失敗から得るものも多々ありますが、できれば「売れる商品」を企画化したいものです。
では、どのようなアイデアを企画化するべきか?
企画化するアイデアの選び方には、3つのポイントがあります。
企画化するアイデアを選ぶときのポイント
- 湧き上がる情熱を抑えられない
- 役に立つ、そして、意味がある
- コストが低く、リスクが小さい
それでは、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
湧き上がる情熱を抑えられない
企画化するアイデアを選ぶときのポイント、ひとつ目は「湧き上がる情熱を抑えられない」です。
「この商品があれば、〇〇がもっと楽しくなる!」
「今の時代には、絶対にこの商品が必要!」
「〇〇で困っている人に、何としてもこの商品を届けたい!」
など、自分の中で湧き上がる情熱を抑えられないアイデアほど、心強いものはありません。
なぜなら、情熱があれば、商品企画や商品開発を行う過程において、多くの困難が待ち受けていたとしても、決して諦めることなく、粘り強く解決策を考え、自ら行動を起こすことによって困難を乗り越えることができるからです。
「必ず人々の共感を得ることができる!」
と、確信をもって言えるアイデアがあるのなら、企画するアイデアの選択肢に加えておきましょう。
役立つだけでなく、意味がある
企画化するアイデアを選ぶときのポイント、2つ目は「役立つだけでなく、意味がある」です。
便利で使い勝手の良い、多くの人の役に立つ商品は、すでに世の中に溢れています。
高度経済成長期であれば、役に立つ商品を作れば作るほど売れたでしょうが、安価で品質もそこそこ良い商品が手に入るようになった今日、「役に立つ」ことはスタンダードとなり、そこに「どんな意味を持たせるのか?」が問われています。
今も昔も、人が抱える問題の多くが人間関係によるものであることを考えると、
- 安らぎや落ち着きを感じさせる
- 居心地がよくて、開放感を与える
- 懐かしさがあって、幼少期を思い出す
- 気分爽快で、リフレッシュできる
- 人の温もりや、思いやりを感じる
など、「心を穏やかにする」「素の自分の戻れる」「人間の五感に訴えかける」ような、意味のある商品は、まさに商品化する意味があるでしょう。
コストが低く、リスクが小さい
企画化するアイデアを選ぶときのポイント、3つ目は「コストが低く、リスクが小さい」です。
商品企画に初めてチャレンジする方や、商品企画にまだ慣れていない方は実績が無いため、おそらく自身の企画が採用される確率は低いと想像します。
ましてや、商品開発に多くの時間と労力を要する企画や、多額の費用が発生する企画は、失敗した時のリスクが高いことから、ほぼ採用されることはないでしょう。
では、商品企画や商品開発の実績が無い場合、
「どのようなアイデアを企画化すれば、採用されやすいのか?」
単純ではありますが、それは、商品企画や商品開発にかかるコストが低くて、失敗した時のリスクが小さい企画です。
ただし、企画した商品がヒットすれば、上司も黙ってはいません。
「予算を追加するから、もっと大きく展開してみようか」
「開発費を増やして、バージョンアップすることはできないか」
など、嬉しいお声がかかることもしばしば。
「商品企画がなかなか通らない…」という方は、「小さく始めて、大きく育てる」というスタンスで、企画化するアイデアを選ぶと良いでしょう。
アイデアから企画を立てる
商品企画の最後のプロセスは、「アイデアから企画を立てる」です。
厳密に言うと、「企画を練り上げる」という表現の方が正しいかもしれません。
アイデアを数多く出して、その中から企画化するアイデアを選んだら、最後は「商品企画」と呼べる状態に仕上げます。
そこで、
「商品企画と呼ぶには、どんな項目が必要か?」
「商品の企画書に必要な要素は何か?」
となるわけですが、
ここでは「商品企画に欠かせない要素」を5つご紹介いたします。
商品企画に欠かせない5つの要素
- 商品企画のターゲット
- 商品企画の目的やねらい
- 商品企画のコンセプト
- 商品開発までの段取り
- 商品企画のタイトル
それではひとつずつ見ていきましょう。
商品企画のターゲット
商品企画に欠かせない5つの要素、ひとつ目は「商品企画のターゲット」です。
つまり、
「誰に買って欲しいのか?」
「誰のための商品なのか?」
を明確に定めます。
アイデアの段階ではぼんやりしていたターゲットを絞り込むことによって、商品の特徴が鮮明になり、今までにない個性的な商品を生み出すことにつながります。
商品企画の目的やねらい
商品企画に欠かせない5つの要素、2つ目は「商品企画の目的やねらい」です。
「なんのためにこの商品を作るのか?」
「この商品を作ることで、何をどうしたいのか?」
といった、商品企画の目的やねらいを定めます。
目的やねらいは商品開発の着地点となり、判断に迷った時の軸となりますから、企画する段階で明確にしておきましょう。
商品企画のコンセプト
商品企画に欠かせない5つの要素、3つ目は「商品企画のコンセプト」です。
商品企画のコンセプトとは、一言で言うと「商品を企画する際の、一貫した考え方や観点」です。
商品企画のコンセプトを明確に定めることで、「誰に何を売るのか?」が鮮明になります。
例えば、園芸用品メーカーが「家族で楽しむガーデニング」を商品企画のコンセプトに据えた場合、これまでメインターゲットとしていた「庭いじりが好きな奥様」にお子様や旦那様も加わって、それに合わせた商品企画へと変化します。
商品開発までの段取り
商品企画に欠かせない5つの要素、4つ目は「商品開発までの段取り」です。
商品開発のスケジュールはもとより、必要なコストや人員など、準備しなければならないことを、思いつく限り挙げておきます。
この段階では、まだ企画が採用されると決まっていませんから、大まかな段取りで問題ありませんが、商品を開発する上でボトルネックになると予想されることや、商品開発のキーポイントになる事柄は必ず書き出しておきましょう。
商品企画のタイトル
商品企画に欠かせない5つの要素、5つ目は「商品企画のタイトル」です。
目に留まる企画は、企画のタイトルが秀逸で、思わず内容を確かめたくなります。
つまり、企画が採用されるかどうかは、企画に興味を持ってもらえるかどうかにかかっており、そういう意味においては、商品企画のタイトルは極めて重要です。
商品企画を判断する人が、タイトルを見た瞬間に
「面白そうな企画だね!」
「へぇ~なるほどねぇ~」
という言葉が思わず口をついて出るような企画は、「筋の良い企画」と言って間違いないでしょう。
まとめ
今回は、商品企画のプロセスを、アイデアの出し方から選び方、企画化までお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
忘れないように、もう一度おさらいしておきましょう。
商品企画のプロセス
- 商品企画のアイデアを出す
- 企画化するアイデアを選ぶ
- アイデアから企画を立てる
商品企画のアイデアの出し方
- メモ帳とペンを持ち歩く
- 付箋を貼るクセをつける
- 過去のヒット商品に学ぶ
企画化するアイデアを選ぶときのポイント
- 湧き上がる情熱を抑えられない
- 役に立つ、そして、意味がある
- コストが低く、リスクが小さい
商品企画に欠かせない5つの要素
- 商品企画のターゲット
- 商品企画の目的やねらい
- 商品企画のコンセプト
- 商品開発までの段取り
- 商品企画のタイトル
この記事を読んでくださった方は、おそらく商品企画を担当する部署に在籍している方が大半かと思いますが、もしあなたが営業部やマーケティン部、製造部や業務部など、商品企画とは関係のない部署に在籍しているのであれば、なおさら自らの意思で商品企画を考えて、上司に提案することを強くオススメします。
なぜなら、
企画を出すということは、積極性のひとつの明白な証拠になります。
自分で企画を持ってくる人は、「相当やる気があるな」と評価されます。
出典:斎藤孝(2011)『斎藤孝の企画塾 これでアイデアがドンドン浮かぶ!』株式会社筑摩書房.
いやはや、おっしゃる通りですね。
それともうひとつ。
商品企画を任されている方は、ひとつと言わず、3つくらい出すと評価もかなり良くなるはず…。
もちろん、企画の内容が一番大事ですが…。
ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました (^.^)
以下、この記事を読んでくださった方へ「オススメの記事」をピックアップしましたので、お時間がございましたらぜひご一読くださいませ。
参考文献:斎藤孝(2011)『斎藤孝の企画塾 これでアイデアがドンドン浮かぶ!』株式会社筑摩書房.