無駄な努力をしないために、ビジネスパーソンが身につけておきべき思考法として「2080の法則」、別名「パレートの法則」をご紹介します。
「2080の法則」という名称は知っていても、「パレートの法則」という名前に聴き慣れない方も多かと思いますが、呼び方はどちらでもかまいません。
その他にも「28の法則」「8対2の法則」「2対8の法則」「20対80の法則」「2割の法則」「2割8割の法則」など、いろんな呼ばれ方をしますが、基本的に内容は全て同じです。
どんな法則かなんとなくわかっている方は多いのですが、ビジネスで「2080の法則」をどんな時にどのように使うのか?を理解している人は多くありません。
「無駄な努力をなくすための思考法」というタイトル通り、「2080の法則」は、お仕事をなさっている全てのビジネスパーソンにご活用いただける、シンプルかつ合理的な考え方です。
ぜひこの機会に「2080の法則」を身につけて、明日からのビジネスライフを実りあるものにしていただければ幸いです。
それではあらためまして、まずはじめに「2080の法則とは何か?」を確認しておきましょう。
2080の法則とは?
2080の法則とは、別名「80対20の法則」「最小努力の法則」「不均衡の法則」「ばらつきの法則」と呼ばれ、投入、原因、努力のわずかな部分が、産出、結果、報酬の大きな部分をもたらすという法則です。
例えばビジネスにおいて「成し遂げる仕事の80%は、費やした時間の20%から生まれる」とされ、逆に言うと「費やした時間の80%は、わずか20%の成果しか産まない」ということになります。
このように投入と算出、原因と結果、努力と報酬の間にはどうにもできない不均衡があり、その「不均衡の割合はおおよそ80対20とされる」という考え方です。
2080の法則の例
ビジネスや生活の中における、2080の法則の一例をご紹介いたします。
あらためて2080の法則の例を見ると「なるほど」と思ってしまうのは私だけでしょうか。
2080の法則の基本原理
2080の法則(パレートの法則)の基本原理が発見されたのは、100年以上前の1897年。
イタリアの経済学者ヴィルフレード・パレート氏は、19世紀のイギリスにおける所得と資産の分布を調査した際、それらが一部の人たちに集中しており、人口における比率と、所得・総資産額に占める比率との間に、不均衡な法則性があることに気づきます。
それを知ったパレート氏は、いろんな国や時代のデータ、あるいはイギリスの過去のデータなどを集めて調査したところ、いずれも19世紀におけるイギリスと同様の不均衡なパターンが、数学的な正確さで繰り返し現れることを発見。
この「不均衡な法則」の発見が、2080の法則(パレートの法則)の基本原理となっています。
2080の法則の活用法
2080の法則の活用法がわかれば、ビジネスのあらゆるところで適用させることができます。
では2080の法則をどのように活用すればいいのか?
答えは超シンプル。
「生産性が低いところを探し出して、生産性が上がるような施策を実行する」ただこれだけです。
具体的には2つの方法があります。
資源を再配分する
ひとつ目は、非生産的なものから生産的なものに資源を再配分する方法です。
例えば、ある会社の販売部門における資源の配分率が、営業部が80%、マーケティング部が20%だったとしましょう。
にもかかわらず、マーケティング部が運用している自社のホームページからのご注文が利益の80%を生み出し、営業部が担当するお客様からの利益が20%しかない場合、営業部の資源である人員や予算をマーケティング部に再配分します。
人や予算が増えたマーケティング部は、これまで行ってきた生産性の高い方法で、新たな商品やサービスを生み出すことができるため、より大きな利益を生み出すことができるというわけです。
資源をお手本とする
2つ目は、資源の配分を変えずに非生産的資源の効率性を高めるために、生産性が高い資源をお手本とする方法です。
これは科学者や医師、システムエンジニアや学校の教員など、仕事のやり方や技術が「ある程度コピーできる職種」に向いています。
例えば社内のあらゆるコンピュータシステムの80%を20%の「生産性が高いエンジニア」が開発している場合、彼らが中心となって、残り80%の「生産性の低いエンジニア」に対して勉強会を開いたり、個別指導を行うことでスキルアップを図ります。
そうすることで20%のシステムしか手がけていなかった80%のエンジニアの生産性を、80%のシステムを構築した20%のエンジニアと同等の生産性に近づけるのです。
いずれもシンプルで明快。
実行すれば確実に効果が上がることは間違いありません。
無駄な努力をなくす思考法
2080の法則は、できるだけ無駄な努力をなくすための、全てのビジネスパーソンが身につけるべき、最もシンプルかつ効果的な思考法です。
例えば営業をなさっているビジネスパーソンの場合、新規の契約を2080の法則に当てはめて、「新規でご契約いただくお客様の80%は、お取引条件の20%に集約されている」と考えます。
次に決め手となる20%のお取引条件に絞り込んで、その条件に特化して「他社との差別化を図る自社独自の強みを出せないか?」、業界でナンバーワンは難しいとしても「地域ナンバーワンになれないか?」などを模索してみるのです。
2080の法則を知らないビジネスパーソンは、闇雲にお客様への訪問数を増やそうとするかもしれませんし、自社の取引条件を下げて、譲歩しながら営業活動を行うかもしれません。
それでも新規の契約を結ぶ事はできるでしょうが、どちらの方法が効率的に成果を残すことができるでしょうか?どちらの方法が無駄な努力をしないで済むでしょうか?
もし仮に2080の法則を活用して、新規契約の決め手となる20%のお取引条件に注目した結果、その条件が競争力のある内容にアップデートされ、その商品を扱う全ての営業パーソンの成約率が飛躍的に向上した場合、会社にとって継続的に大きな利益を生み出し続けることになります。
一方で、訪問件数を増やし、お取引の条件を譲歩しながら活動を続けた営業パーソンは、無駄な努力とまでは言いませんが、結果として前者との間に大きな差が生まれる事は否めません。
上記はほんの一例ですが、2080の法則はあらゆるビジネスシーン、あらゆるお仕事に適用することができますので、無駄な努力を少しでもなくすための思考法として、日常的にご活用いただければと思います。
まとめ
ということで、今回は「2080の法則(パレートの法則)」についてお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
最後にもう一度、「2080の法則(パレートの法則)」の例をおさらいしておきましょう。
私個人的にも、2080の法則を仕事や生活のあらゆる場面に当てはめて、最小限の努力で最大限の効果が出るように、まずは頭の中を整理してから事に当たるようにしています。
単に楽したいだけかもしれませんが…。
ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました。^ – ^
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参考文献 リチャード・コッチ(2011)『新版 人生を変える80対20の法則』(仁平和夫/高橋裕子訳)阪急コミュニケーションズ.