パレートの法則を組織マネジメントに活用して生産性アップ!

鳥取県 早春の大山 撮影者:うさやん

「パレートの法則を組織マネジメントに活かす方法が知りたい」

「社員のマネジメントや、人材の活かし方を模索している」

「会社の生産性を上げるために、組織のマネジメントを見直したい」

そんなあなたに、今回は

パレートの法則を組織マネジメントに活用することによって、会社の生産性を上げる方法

をお伝えします。

組織マネジメントとは

組織マネジメントとは、会社の経営資源である人材を理解し、彼(彼女)らの行動やモチベーションを管理しながら、目標を達成するためにはどうすればいいか?会社の利益に結びつくような成果を得るためには何をすべきか?などを考え、組織を正しい方向へと導く経営戦略のことを言います。

パレートの法則は別名「80対20の法則」「最小努力の法則」「不均衡の法則」「ばらつきの法則」と呼ばれ、投入、原因、努力のわずかな部分(およそ20%)が、産出、結果、報酬の大きな部分(およそ80%)をもたらすという法則です。

パレートの法則についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。

どのような組織も「生産性が低い多数」と「生産性が高い少数」から構成されています。

「生産性が低い多数」からはしばしば停滞と非効率が生まれ、

「生産性が高い少数」からは活気と効率がもたらされます。

あなたの目に写っている会社の生産性は、上記を合算した「会社全体の平均的な生産性」です。

パレートの法則を組織マネジメントに活用する主な目的は、「生産性が低い多数」と「生産性が高い少数」を明らかにして、それぞれに見合った適切な対策を行うことで、会社全体の生産性を押し上げることに他なりません。

ではパレートの法則を組織マネジメントに活用して、会社全体の生産性を底上げするためにはどうすればいいか?

具体的な方法を見ていきましょう。

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パレートの法則を組織マネジメントに活用する方法

パレートの法則を組織マネジメントに活用して、会社全体の生産性を上げるためには3つのステップを踏むことになります。

パレートの法則を組織マネジメントに活用する3つのステップ

  1. パレートの法則を当てはめ、会社の利益の80%をもたらす20%の人材を見極める
  2. 80%の利益をもたらす20%の人材に、権限あるいは資源を与えて影響力を高める
  3. 20%の利益しか生み出さない80%の人材には、能力を開花させる試みを実施する

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

利益の80%をもたらす20%の人材を見極める

まずは、

パレートの法則を当てはめることによって、

会社が生み出す利益の80%をもたらす20%の人材、つまり「収益性が高い人材」を見極めます

売上ではなく、あくまでも利益を基準に人材を見極めることがポイントです。

営業やマーケティングに携わっている人材に関しては、利益への貢献度が比較的わかりやすいのですが、製造や業務関連、カスタマーや接客、総務や経理を担当している人は、利益への貢献度がなかなか見えづらいため、個人の能力を中心に判断することになります。

例えば、仕事の正確さやスピード、創造性や処理能力、知識や経験、仕事に対する姿勢やコミュニケーション能力などを総合的に判断して、上位20%の人材を「収益性が高い人材」とします。

「収益性が高い人材」を正確に見極めることはできませんから、いくつかの指標を設けて、総合点が高い人材から上位20%を選出することになるでしょう。

総合点が上位20%に入らなかった人材についても、ひとつの指標で突出した点数を叩き出した人材であれば、苦手な部分を他の人材がサポートすることによって、生産性を上げるキーマンとなり得ます

いずれにしても、「収益性が高い人材」を見極める際は、私情を挟む事なく、これまでの成果や貢献度、仕事に対する能力やマインド、人間性などを重視して、公平な視点を持つことが重要です。

収益性が高い20%の人材に裁量権を与える

次に、

「収益性が高い人材」にある程度の裁量権を与えて、

自分の考えで意思決定する機会を増やし、社内での影響力を拡大します。

新たな役職を与えてもいいですし、チームのリーダーに据えてもいいでしょう。

ポジションはそのままで裁量権を与える場合は、本人に意思決定させるのではなく、上司が「収益性が高い人材」の意見を積極的に取り入れて、表向きはこれまでどおり上司が意思決定する立場をとります。

ここで気をつけるべき点は、周りの社員への配慮です。

「収益性が高い人材」の裁量権を広げる場合は、「なぜ彼(彼女)に裁量権を与えるのか?」を周りに人間に伝えておく必要があります。

伝達を怠ってしまうと、裁量権を広げることをよく思わない人間が「どうしてあの人だけ…」と反発して、「収益性が高い人材」に対して非協力的な態度をとったり、周りの社員を巻き込んで「収益性が高い人材」を攻撃しかねません。

誰もが認める実績を上げている、あるいは誰からも信頼される社員であれば、他の人間も納得するでしょうが、そのような人物は稀です。

「収益性が高い人材」のパフォーマンスを今まで以上に発揮させるにはどうすればいいか?を考えて、裁量権を与えるだけでなく、裁量権が発揮しやすい環境を整えることも同時に行いましょう。

収益性が低い80%の人材の能力を開花させる

最後に、

20%の利益しか生み出さない80%の人材、つまり「収益性が低い人材」に対しては、

彼(彼女)らの内に秘めた能力を開花させることに全力を尽くします

能力を開花させるポイントは、

  • 無理に苦手なことをやらせない
  • 得意なことを見つけて仕事に結びつける

ということです。

本人たちが苦手としていることを、いくら頑張って指導したところで、平均点をとることはあっても、高得点をとること、つまり上達することはありません。

その逆に、得意なことが活かせる仕事を与えると、放っておいても勝手に上達して、やがてはプロフェッショナルと言われるまでに成長することもあります。

詰まるところ、「収益性が低い人材」の能力を開花させることができるかどうかは、彼(彼女)らの適性を判断できるかどうか?にかかっていると言っても過言ではありません。

そうはいうものの、「なかなか能力を開花できない」あるいは「社内で彼(彼女)らに向いている仕事が見つからない」といった場合もあるかと思います。

そんな時は、「収益性が高い人材」が行っている仕事のやり方や考え方を徹底的にマニュアル化して、当面はそのマニュアルに沿った仕事のやり方に変えていただくとよいでしょう。

マニュアルは、

  • なぜそうするのか?がちゃんと説明できる
  • 誰が実行しても平均点が取れる内容にする
  • 改善点があればブラッシュアップしていく

ことが重要です。

単にマニュアルを作成して、「この通りに行ってください」では、マニュアルに沿って仕事をする方は「やらされている」と感じます。

そのため、最初に作成するマニュアルはあくまで原案であることを伝え、「改善点があれば提案してほしい」「全員でブラッシュアップしていく」ことを共有し、「自分たちのマニュアル」と認識していただくことが大切です。

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パレートの法則を使うと、なぜ生産性が上がるのか?

パレートの法則を組織マネジメントに活用すると、なぜ生産性が上がるのか?

前項でお伝えした「パレートの法則を組織マネジメントに活用する方法」を実践すると、「利益の80%をもたらす20%の人材」はその影響力を強め、今まで以上に能力を発揮しやすくなります。

「利益の20%しか生み出さない80%の人材」は、自身の能力が開花するサポートが得られるとともに、「収益性が高い人材」が行っていた仕事のやり方をもとにしたマニュアルを手にすることで、平均点以上の成果をもたらすことができるようになります。

つまり「収益性が高い人材」と「収益性が低い人材」を明確に区別し、それぞれの人材に最適なマネジメントを行うことによって、人材という資源の費用対効果を上げる

その結果として、全体の生産性を押し上げるというわけです。

モチベーションインセンティブ(報酬)の観点からも、パレートの法則は生産性を上げる大きな「きっかけ」となります。

「収益性が高い人材」は裁量権を得ることでモチベーションが上がり、より大きな成果を上げることで、それ相応のインセンティブを受け取ることができます。

「収益性が低い人材」についても、自身の能力を開花させるために会社がサポートしてくれることでモチベーションが上がり、マニュアルの効果によって一定の成果を出せるようになれば、賞与や昇給にも反映されるでしょう。

その一方で、未だに多くの企業では、自分に合っている仕事を黙々とこなしている人たちが、会社に大きな利益をもたらしているにもかかわらず、それに見合う報酬を受け取っていない現状があります

原因はいろいろありますが、

  • ほんとうの貢献度を測定する方法が難しい
  • 立ち回りのうまい人間だけが常に出世する
  • 仕事の実績よりも、肩書きが重視される

など、誰もが納得できないルールや、古くからの平等主義がそうさせるのかもしれません。

そのような企業こそ、パレートの法則を積極的に活用して、「生産性が高い組織づくり」を実行していただきたいと思います。

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まとめ

今回の記事では、パレートの法則を組織マネジメントに活用して、効率よく会社の生産性を上げる方法についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。

それでは最後にもう一度、

パレートの法則を組織マネジメントに活用する3つのステップをおさらいしておきましょう。

パレートの法則を組織マネジメントに活用する3つのステップ

  1. パレートの法則を当てはめ、会社の利益の80%をもたらす20%の人材を見極める
  2. 80%の利益をもたらす20%の人材に、権限あるいは資源を与えて影響力を高める
  3. 20%の利益しか生み出さない80%の人材には、能力を開花させる試みを実施する

さて、今回の記事をお読みになって、

「パレートの法則を当てはめるまでもなく、優秀な人材には裁量権を与えて活動の範囲を広げることは当たり前ではないか?」

と思われた方もいらっしゃるかと思います。

確かにおっしゃる通りですし、反論するつもりは毛頭ありません。

ただひとつ気になるのは、「優秀な人材とはどのような人材か?」ということです。

組織をマネジメントする際は、ブレない軸がどうしても必要になります。

その点において、パレートの法則は「会社が生み出す利益の80%をもたらす20%の人材」という表現からも分かるように、「利益」を基準にして優秀な人材を判断していますから軸がブレません。

あらためまして、

「利益を中心に考える組織を作りたい」

「利益率が高い会社に立て直したい」

「今の組織マネジメントを見直したい」

とお考えの方は、人材という貴重な資源を使って最大限の利益を得るために、そして、会社の生産性を上げるために、パレートの法則を組織マネジメントに活用してみてはいかがでしょうか。

ということで、今回はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました。^ – ^

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参考文献 リチャード・コッチ(2011)『新版 人生を変える80対20の法則』(仁平和夫/高橋裕子訳)阪急コミュニケーションズ.

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