「顧客のニーズに応えるためにはどうすべきか?」
「変化し続ける顧客ニーズを分析する意味はあるのか?」
「多様化する顧客ニーズへの対応策は?」
というあなたに、今回は、
中小企業や小さな会社が顧客のニーズに応えるためにはどうすればいいか?
という問いに対して、ひとつの答えを提案いたします。
顧客のニーズに応えるためには、一般的には
- 顧客のニーズを引き出す
- 顧客のニーズを把握する
- 顧客のニーズに応える
という順番で進めていくことになりますが、結論から申し上げると、中小企業や小さな会社は、大企業に比べると人材や資金に乏しく、多くの時間と労力を費やす余裕がないため、この方法をオススメしません。
では、どうすれば中小企業や小さな会社は、顧客のニーズに応えることができるのか?
まずは「常識」や「前例」を疑うことから初めてみましょう。
顧客のニーズに応えるには
顧客のニーズに応えるにはどうすればいいか?
多くの企業は過去のデータを分析したり、インターネット検索で調べたり、お客様アンケートの結果からニーズを探る方法をとっています。
しかし、中小企業や小さな会社が、上記の方法から得た顧客ニーズをもとに、商品の開発や改善を行った場合、大抵は大きな成果を手にすることができません。
では、中小企業や小さな会社が顧客のニーズに応えるには、
どんな考え方をすればいいのか?
どんな方法をとればいいのか?
具体的に何が必要なのか?
まずは顧客ニーズの分析に疑問を呈し、顧客ニーズの多様化が進む背景を知ることからはじめ、その上で、変化が激しい顧客ニーズに応えるために必要なことは何か?を探っていきたいと思います。
それでは早速見ていきましょう。
顧客ニーズの分析に意味はあるのか
顧客ニーズの分析に、果たして意味はあるのか?
商品やサービスを新たに開発する際、多くの企業では、市場の動向を調べたり、顧客のニーズを分析することが当たり前のように行われています。
例に違わず、私も過去に新商品を開発する際、顧客のニーズや市場の動向をリサーチしようと試みたことが何度かありました。
しかし、結論から申し上げると、「あまり参考にならなかった」というのが正直なところです。
「そんなことはすでにわかっている」という表現が正しいのかもしれません。
基本的には検索エンジンの結果や競合他社の動向をチェックして、自社で実施したお客様アンケートの回答から潜在的な顧客ニーズを探り、それらをもとに自分の経験や直感から仮説を立て、商品やサービスの開発を行っていました。
政府をはじめ、様々な機関が発表している統計は全て「過去の数字」なので、そこから未来予想図を導き出すことはできません。
もし過去のデータから未来を予測することが可能であれば、競馬や競輪において、過去のレース結果を詳細に分析することで一儲けできると思うのですが、ご存知の通り実際は不可能です。
それともうひとつ。
仮に顧客のニーズを分析することで、おおよその顧客ニーズを掴めたとしましょう。
ここで大きな問題が生じます。
それは、
「過去のデータから導き出した顧客ニーズをもとに開発した商品が売れるのか?」
という問題です。
当然ながら、競合他社も同じデータを使って分析しています。
ということは、結果として同じ顧客ニーズにたどり着くことになりますから、その分析結果をもとに商品開発を進めると、商品を作る上で最も大切な「差別化」を図ることがますます難しくなります。
似たような商品が同じ棚に並んだ場合、売れていくのは値段が安い商品です。
「価格競争」と言われるものは、そのようにして起こります。
上記のことから、顧客のニーズを分析することに「意味がない」とまでは言いませんが、そこには必ず限界があり、どれだけ時間をかけて分析しても答えは見つからないどころか、分析すればするほど迷走してしまうことになりかねません。
顧客ニーズの多様化の背景を考察
顧客のニーズが多様化している背景は何か?
ネットショップを経由して、ありとあらゆるものがインターネットを通じて購入できるようになったことで、顧客のニーズは多様化の一途を辿っています。
以前はマスメディアから流れる情報や、自らリサーチした(足で稼いだ)情報、あるいはリアルなコミュニティから得られる情報を頼りにする以外に、個々の商品を知る方法はありませんでした。
しかし、インターネットの登場によって状況が一変。
ありとあらゆる商品の情報が、誰でも簡単に手に入るようになりました。
情報を取得するコストが低下する一方で、情報を発信するコストも低下しています。
今ではWebサイトを構築するための知識や経験がなくても、誰でも簡単にホームページやネットショップを開設できますし、TwitterやFacebook、Instagramなどを通じて、個人でも様々な情報を全世界に発信できます。
情報コストの低下によって、これまで埋もれていた個性的な商品やサービスが広く発信されるようになると、顧客のニーズは多様化を極め、その流れは今も続いています。
顧客ニーズの多様化が進む一方で、商品やサービスを開発する企業は、多様化した顧客のニーズに応えることを余儀なくされました。
「私にぴったりの商品」を見つけやすくなった今日、これまで「誰にでも心地よい」と評価されていた商品は、顧客ニーズの多様化によって、誰にとっても「そこそこ心地よい」と判断されるようになり、その価値は下がる一方…。
「顧客のニーズを細かく分けて、個々のニーズに合わせた商品を開発すればいいのでは?」
と思う方もいらっしゃいますが、細かい顧客ニーズに応える商品を開発するためには、それなりの時間とコストがかかりますから、実行できる企業は限られるでしょう。
顧客ニーズの変化に対応できるのか
企業は顧客ニーズの変化に即座に対応できるのか?
顧客ニーズは時代の流れによって変化し続けていますから、追いかける側の企業は必死です。
そして、顧客ニーズの変化の激しさに追い討ちをかけるような出来事が起こります。
その出来事とは、スマートフォンの登場です。
2008年に日本で初めてiPhoneが発売され、翌年にはドコモがAndroidを発売。
少し古いデータになりますが、総務省の統計によると、2017年の時点で個人におけるスマートフォンの保有率は約60%、携帯電話やPHS及びスマートフォンを含めたモバイル端末全体の保有率は84%となっています。
掌の中で世界とつながることができるようになったことで、私たちの生活は一変しました。
当然ながら、ビジネス環境も大きく変化し、今やスマートフォンの存在を抜きにして、ビジネス活動は考えられません。
私もスマートフォンを使うようになってから、当然のようにネットショッピングや銀行振り込み、天気予報やニュースの閲覧などを行うようになりましたが、
「もっとこうなればいいのになぁ」
「もっとこういうことができれば便利なんだけど」
と思うことは今でもありますから、まだまだ進化しそうな気がいたします。
顧客ニーズの変化が激しさを増す要因は、パソコンやインターネット、スマートフォンをはじめとするIT技術の革新だけではありません。
自然災害や国家間の争い、経済を揺るがす金融危機や新型ウイルスの流行など、人々の生活を脅かす出来事が起こると、顧客のニーズは一瞬で変化します。
これまで存在していた顧客のニーズが突然なくなってしまったり、これまで見向きもされなかったものに対して急激に顧客のニーズが高まったりすることから、変わりゆく顧客ニーズに対応することは極めて困難であることがわかります。
顧客のニーズに応えるために必要なこと
顧客のニーズに応えるために必要なことは何か?
ここまで
- 顧客ニーズを分析しても、他社との差別化を図るのは困難である
- 顧客ニーズは多様化しており、その流れは今も続いている
- 顧客ニーズは常に変化しているため、対応することは難しい
ことをお伝えしました。
では、
顧客のニーズは無視していいのか?
ということになりますが、決してそのようなことはありません。
顧客のニーズを正確に分析できなくても、
顧客ニーズの多様化が進んだとしても、
ある日を境にして顧客ニーズが突然変化することがあっても、
お客様を相手にビジネスを行なっている以上、顧客ニーズを無視することはできません。
むしろ、深く追求する姿勢を持ち続けることが大切です。
ただし、追求すべきは過去のデータから読み取れる数値や、時代の変化によって移ろいやすい顧客のニーズではなく、いつの時代も変わることがない
「人間の根源的な欲求」から導き出した顧客のニーズ
です。
根源的な顧客のニーズと言っても、扱っている商品によっても異なりますし、対象としているユーザーによっても変わりますから、残念ながら一概に「コレです」とは言えませんが、
- 人間をより深く知ろうとする「探究心」を持つ
- 直感と論理を行き来しながら自分の頭で考える
ことを習慣にして、何度もチャレンジするうちにすると、変わることのない潜在的な顧客ニーズを探り当てることができるようになってきます。
それともうひとつ。
お客様の声に真摯に耳を傾けて、そこから真の顧客ニーズを探り当てることも同時に行うと、より時代にフィットした顧客のニーズを掴むことができるでしょう。
お客様のご意見やご要望の中には、少なからず顧客のニーズが隠れています。
「本当は何を伝えようとしているのか?」
「なぜそのことを私たちに伝えたいと思ったのか?」
といった、言葉の裏側や行間から読み取れるお客様の気持ちに心を寄せていくと、隠されたメッセージが浮かび上がることがあります。
中小企業や小さな会社が、顧客のニーズに応えるために必要なことは、過去のデータを分析することではなく、顧客に興味を持って、顧客に寄り添い、顧客の声に耳を傾け、顧客目線でものごとを捉え、
「顧客さえまだわからない、顧客が欲しいものは何か?」
を自分の頭でとことん考えること。
その先に、まだ見ぬ顧客ニーズを発見することができるでしょう。
まとめ
今回は、
中小企業や小さな会社が顧客のニーズに応えるためにはどうすればいいか?
について考察しましたが、いかがでしたでしょうか。
前項では「お客様アンケート」について触れましたが、お客様の声は「氷山の一角」です。
本来は商品を手にした全てのお客様が、何かしらの感想を持っており、意見や要望はあるけどあえて口にしない人が圧倒的に多いと言われています。
そんな中にあって、ご意見やご要望を伝えてくださったお客様が一人ではなく数名いらっしゃった場合、それは何を意味するのか?
それは、
「この商品にはもっと顧客のニーズに応える余地がありますよ」
というお客様からのメッセージに他なりません。
お客様のご意見やご要望を真摯に受け止め、お客様がほんとうに求めている根源的な欲求を探り当て、ぜひそのニーズを満たすべく、商品やサービスを開発・改善してみてください。
お客様は
「自分が何を欲しがっているのか?」
を、うまく言葉に表すことができません。
そのことを念頭において、お客様が発する言葉の意味を汲み取って、それを活かすことができれば、最終的には売上という形で返ってくるでしょう。
ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました。^ – ^
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