「人事異動の内示を出すタイミングはいつ頃?」
「人事異動の内示の伝え方を詳しく知りたい」
「人事異動を拒否された時、どのように対応すべきか?」
というあなたに、今回は、
- 人事異動の内示を出すタイミングと、内示を出す時期
- 人事異動の正しい内示の伝え方 5つのステップ
- 人事異動を拒否された時の対応マニュアル
について解説します。
人事異動の内示を伝えるタイミングに明確な規定はありませんが、人事異動を円滑に進める上で、内示を出すタイミングや伝え方は極めて重要です。
人事異動の内示が遅いがために、すんなり受け入れてくれるはずの異動を拒否されたり、内示の伝え方が悪いせいで、従業員の不安や動揺を誘う可能性も十分に考えられます。
あるいは、人事異動が何事もなく受け入れてもらえると思い込んでいたばかりに、拒否された時にどう対応していいかわからず、強引に人事異動を進めた結果、社内に混乱を招き、挙げ句の果てには優秀な社員を退職に追い込んでしまった…なんてことにもなりかねません。
上記のことから、人事異動の内示を出す際は、最適なタイミングを見計らって、事前に伝え方を整理し、万が一拒否された時でも落ち着いた対応ができるように、しっかり準備しておく必要があります。
それでは早速みていきましょう。
人事異動の内示のタイミング
人事異動の内示のタイミングはいつ頃がベストか?
人事異動は、会社にとっては、その後の組織体制や業績を左右する大きなきっかけとなり、従業員にとっても、人生を左右する大きなターニングポイントとなります。
そのため、人事異動の内示を出す側は「最適なタイミングはいつか?」を慎重に考える必要がありますし、内示を受ける側の従業員も、「どのタイミングで内示が出されるのか?」は非常に気になるところです。
会社の内情や従業員の家族構成によって、内示を出す(が出される)タイミングはまちまちですが、内示のタイミングを決める上でのポイントは大きく2つあります。
- 今行っている業務の量と質を十分に考慮した上での、余裕をもった引継ぎに要する期間
- 転居を伴う場合の家探しや引っ越し、転居先での住所変更や転校の手続きに要する期間
上記2つのポイントを勘案した上で、会社と従業員、双方にとって無理のない人事異動の日程を考え、そのスケジュールに伴って「人事異動の最適な内示のタイミング」を決定することが重要です。
異動の内示は何日前?
異動の内示は辞令の何日前に出すべきか?
あるいは、異動を実施する何日前に出すべきか?
4月1日に人事異動を実施すると仮定した場合の
- 転居を伴う場合(家族と一緒に住んでいる)
- 転居を伴う場合(独身者で、一人暮らし)
- 転居を伴わない場合
の3パターンの人事異動のスケジュールを作成しました。
ぜひご参考にしていただければ幸いです。
転居が伴う場合(家族がいる)
- ~年末:本人に内示を出す(人事異動の最低3ヶ月前/辞令の約2ヶ月前までに)
- 3月1日:社内に辞令を出す(人事異動の約1ヶ月前)
- 4月1日:人事異動の実施
転居が伴う場合(独身者)
- 2月1日:本人に内示を出す(人事異動の約2ヶ月前/辞令の約1ヶ月前)
- 3月1日:社内に辞令を出す(人事異動の約1ヶ月前)
- 4月1日:人事異動の実施
転居を伴わない場合
- 3月1日:本人に内示を出す(人事異動の約1ヶ月前/辞令の約2週間前)
- 3月15日:社内に辞令を出す(人事異動の約2週間前)
- 4月1日:人事異動の実施
※業務内容を把握することができないため、引継ぎ期間を2週間~1ヶ月としています。
人事異動の内示の時期は?
人事異動の内示の時期はいつ頃か?
人事異動の内示の時期は企業や団体によって異なりますが、一般的には企業の決算期である3月や9月を中心に考えられる場合が多いようです。
例えば決算月が3月の場合は翌月の4月1日付、決算月が9月の場合は翌月の10月1日付で人事異動が実施されますから、会社と従業員の状況によって異なりますが、内示の時期はそこから逆算して、1~3ヶ月前になるでしょうか。
なお、1年(1月~12月)を上半期と下半期に分けている企業では、上半期の初月となる1月上旬、あるいは下半期の初月となる7月1日に人事異動を実施する場合もあります。
その場合も同様に、内示の時期はそこから逆算して、1~3ヶ月前になるケースが多く見られます。
人事異動の内示の伝え方
人事異動の内示の伝え方を解説します。
人によって、または会社によって「人事異動の内示の伝え方」は異なります。
会社に規定のルールがある場合は、そのガイドラインに従って伝えることになりますが、特に決まっていない場合は、以下の順に人事異動の内示を伝えると良いでしょう。
人事異動の内示の伝え方
- 正直かつ正確に事実を伝える
- 会社の大きな方向性を伝える
- 異動の目的や妥当性を伝える
- 答えられる範囲で質問に回答
- 人事異動の守秘義務を伝える
それではひとつずつ簡単にご説明いたします。
正直かつ正確に事実を伝える
「最近、仕事の調子はどうだ?」
「この前の〇〇、その後はどうなってる?」
人事異動の内示の話をなかなか切り出せない…そんな方も多いのではないでしょうか。
前置として最近の状況を確認しているうちに、本題となる人事異動の内示を伝えそびれてしまう…なんてことにならないように、まずは単刀直入に異動の内容を正直に、そして正確に伝えます。
内示の段階では、まだ決定事項ではありませんから、話せる範囲内で状況を伝え、
好意的か?それとも否定定期か?
冷静に受け止めているか?それとも動揺しているか?
など、相手の反応をチェックします。
会社の大きな方向性を伝える
次に、人事異動の具体的な目的や理由に触れてもいいのですが、せっかくですから、このタイミングで会社のビジョンやミッションを再確認し、業界や市場の動向をはじめ、会社が直面している現状や方向性をあらためて伝えましょう。
そうすることで、今回の人事異動に至った経緯や、今回の人事異動がどのような意味をもつのか?が伝わり、本人に責任感や使命感を芽生させ、前向きに受け止めてもらえる可能性が高まります。
異動の目的や妥当性を伝える
会社の大きな方向性が伝わったら、今回の人事異動の具体的な目的や理由を伝えます。
異動の理由に関しては、
なぜ今回の人事異動をおこなうことになったのか?という「正当性」
なぜ今回の人事異動であなたが選ばれたのか?という「妥当性」
そして、
今回の人事異動に対する会社や上司の「期待感」
を、丁寧に、わかりやすく伝えます。
答えられる範囲で質問に回答
会社側から伝えるべき内容を一通り話したら、この時点で相手からの疑問や質問、確認したいことや不安に思っていることなどを聞いてみましょう。
今すぐに回答できない質問もあるでしょうが、検討の余地があることや、すぐに回答できることもあるかもしれません。
相手の不安を少しでも解消できるように、少しでも応えてあげようとする姿勢は大切ですが、曖昧な返答は混乱を招く恐れがありますから、あくまでも現時点でわかっている内容から、答えられる範囲内で回答し、すぐに答えられない質問は持ち帰って後日返答しましょう。
人事異動の守秘義務を伝える
質疑応答が終わったら、最後に人事異動の守秘義務について確認しましょう。
人事異動の辞令が発表されるまでは変更の可能性もありますし、人事異動の内容が社内外に漏れてしまうと、さまざまな憶測が飛び交い、業務に支障をきたす場合も考えられますから、人事異動の内示には守秘義務が伴います。
そもそも、人事異動の内示を出す目的は、辞令に先駆けて
「前もって準備を整えてもらうこと」
に他なりません。
今取り組んでいる仕事の段取りをつけたり、引き継ぎの方法や人選、家族との相談や自身の気持ちの整理、転居を伴う場合は引っ越しの準備など、できることから少しずつ準備をはじめてもらうことが目的ですから、辞令が出されるまでは「口外禁止」であることを伝えましょう。
人事異動を拒否されたら
人事異動の内示を行った際、相手に拒否されたらどうすればいいか?
まずは
人事異動を拒否する明確な理由があるかどうか?
を確かめましょう。
いろんな性格の方がいますから、人事異動の内示を受け入れなければならないことを、頭では理解しているものの、
新しい仕事や新しい職場にうまく馴染めなかったら…
新しい仲間や新しいお客様と良好な人間関係を築けなかったら…
家族の同意が得られなかったら…
といった漠然とした不安が先行し、状況をうまく受け止められない方がいらっしゃいます。
そのような方に対しては、異動後の待遇をはじめ、具体的な保証やサポート体制、将来への期待やキャリアプランなどを、相手の気持ちに寄り添いながら丁寧に説明しましょう。
間隔を開けて、根気よく丁寧に説明する時間を設けることで、少しずつ前向きに人事異動を受け入れてくれることもあります。
一方で、明らかかに反抗的な態度を取る方や、
「なんとしても異動したくない!」
という思いから、人事異動に対する不満やデメリットを並べ立て、人事異動しない方が会社にとって得策であることを口にする方も、ごく稀にいらっしゃいます。
この場合、まずはじめにやるべきことは、会社側の目的や考えを一旦脇に置いて、
「ただひたすら相手の話に耳を傾けること」
です。
相手の話をじっくり聴くことで、まずは「私の話に真剣に耳を傾けてくれる」という印象を与え、話を聞く過程で「なぜ今回の人事異動を拒絶するのか?」という真の理由を探り当てることに注力します。
もしかすると、今の職場において会社側が把握できていない新たな真実や、会社が知り得ない本人の個人的な事情があるかもしれません。
ここで一方的に会社側の決定を押し通すと、遺恨を残すことになるだけでなく、強引に異動を進めた結果、異動先で期待するパフォーマンスを出していただけない場合がありますから、双方にとって良いことは何ひとつありません。
相手の気持ちに寄り添いながら、人事異動を拒否する根本的な理由を把握した後で、問題解決への糸口を探るのです。
それでも解決できない場合は、今回の人事異動を見直すか、あるいは別の選択肢を用意するほかありませんが、時間が許す限り、会社側と従業員、双方にとってベストな方法を模索することで、相手の考えや態度が変わることも考えられます。
それともうひとつ。
人事異動を告げる方(上司や人事担当者)は、内示を拒否されたことに対する問題を自分一人で抱え込むのではなく、専任の社労士さんに相談したり、スポットコンサルティングを利用して、人事のプロフェッショナルの方々から良い知恵を授かるなど、専門家に頼ることも大切です。
時間はかかるかもしれませんが、粘り強く取り組みましょう。
まとめ
今回は、人事異動の内示について「タイミング」「伝え方」「拒否された時の対応」を解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
最後にもう一度、「人事異動の内示の伝え方 5つのステップ」を確認しておきましょう。
人事異動の内示の伝え方
- 正直かつ正確に事実を伝える
- 会社の大きな方向性を伝える
- 異動の目的や妥当性を伝える
- 答えられる範囲で質問に回答
- 人事異動の守秘義務を伝える
ピグマリオン効果という言葉をご存知でしょうか。
ピグマリオン効果とは、
「人は期待されると、その気持ちに応えるような行動をとりやすくなる」
というものです。
だからというわけではありませんが、人事異動の内示を告げる際は、ただ単に内容を伝えるのではなく、心からの期待を込めるとともに、未来への可能性を示してあげましょう。
コンフォート・ゾーン(居心地のいい場所)は時に従業員の成長を妨げ、長く居続けるほど、そこから出ることを恐れて不安感を高めます。
心から従業員の成長を望むのであれば、励ましたり勇気づけたりすることはもちろん、時には背中をそっと押したり、手を引っ張ったりしながら、新たな挑戦へと導いてあげることも大切です。
最初は驚きや不安のあまり抵抗するかもしれませんが、きっと理解してくれると信じて、投げやりになることなく、最後の最後まで諦めずに対話することが、人事異動を円滑に進める最も大きなポイントなのかもしれませんね。
ということで、今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました (^.^)
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